銀河英雄伝説が好きで悪いか?

 

銀河英雄伝説は正編10巻だけで1000万部を超えるセールスを記録して、「銀英伝」という略称で愛され続けています。
1982年から1987年までに本編全10巻が刊行され、1988年SFの賞である星雲賞を受賞しています。

SFに分類されますが、舞台を宇宙に移した架空戦記です。ライトノベルが好きな中高生でも読めるというか、若いほど夢中になって読める作品だと思います。
その魅力的な世界をちょっと覗いて見ましょう。

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1.話

銀英伝の世界は西暦2801年を宇宙歴1年と定めています。地球は老衰し、人類は地球を離れ宇宙へと進出していきます。

序章でこの地球を離れた経緯や新たな人類が生きる恒星を見つける苦労なども詳述され、細かな設定が語られます。細かすぎて導入としては読みづらいので、飛ばして読んでも良いです。簡単に説明をしておきます。

人類統一政府である銀河連邦の政治体制が次第に腐敗し、強力な指導者が求められる中で宇宙海賊を壊滅させた連邦軍の英雄ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが政界に進出します。民衆の圧倒的支持を得て独裁政権を確立した。
宇宙暦310年に銀河帝国皇帝に即位して銀河帝国を建国し、帝国暦1年とした。

しかし、共和主義者を中心とした反対派を弾圧・粛清、議会を解散して専制政治へと移行します。
自身を支持する「優秀な臣民」に対しては特権を与えて貴族階級を形成して対抗し、世襲による帝国運営を確立。
強くないものは生きる資格がないとし遺伝子法などを発布するなど、ヒトラー的な側面を持った人物像になっています。

帝国暦164年、共和主義者アーレ・ハイネセンのアイデアで、辺境の流刑地から天然ドライアイスを材料とした宇宙船で帝国からの逃亡に成功します。

帝国暦218年に安定した恒星群を見いだし、そこに自由惑星同盟を建国します。民主共和政治を礎とする銀河連邦の正当な後継者との誇りから、宇宙暦を復活させ、勤勉さと情熱によって国家体制をととのえ、急速に勢力を拡大させました。

帝国は、次第に貴族階級の堕落と権力闘争などが起こり、ルドルフの理想は形骸化します。恒星フェザーン星系は、皇帝の主権の下にありながらも内政に関してほぼ完全な自治権を有した商業国家のフェザーン自治領の形成に成功します。

帝国暦331年に自由惑星同盟の存在が帝国に把握され、帝国と同盟の間で150年に渡る慢性的な戦争状態を継続することになります。
これは二国の地理的問題から、イゼルローン回廊を通過するしか本拠地を叩けないという問題から、周辺での無意味な戦闘の繰り返しに終始したことに起因します。

また、両者の上層部が本気で勝つことよりも「外敵」を作ることで、内部の腐敗を隠そうとしたことも大きな要素となっています。自由惑星同盟も民主主義ではありながら、衆愚政治というしかない状態に陥っていました。

ここからが本編です。永遠につづくかに見えた小競り合いですが、2人の天才が同時期に生まれたことで物語が始まります。

帝国には貴族とは名ばかりの貧家に生まれたラインハルト・フォン・ミューゼル
愛する姉のアンネローゼが皇帝の後宮に納められたことで、ゴールデンバウム王朝への憎悪を抱き、親友のジークフリード・キルヒアイスとともに、腐敗したゴールデンバウム王朝を打倒し「宇宙を手に入れる」という野望へと邁進します。

天才的な軍事的才能とキルヒアイスの補佐によって武勲を重ね、驚異的なスピードで昇進し、ローエングラム伯爵家の家名を継ぎラインハルト・フォン・ローエングラムとなり、20歳にして帝国元帥となります。

現体制に不満を抱く若き才能が集まり、腐敗した体制のもと既得権益をむさぼる貴族からの反発の中にあって確固たる勢力を確立することになります。

自由惑星同盟では、歴史研究家志望であったものの、両親の死により歴史を無料で学べる機関として士官学校を選択し、不本意ながらも軍人になったヤン・ウェンリー。ラインハルトより9歳年長です。

ヤンは暴力機関としての軍隊を嫌い、退役生活を夢見ながらも、その軍事的才能によって武勲を重ねます。
昇進に興味がないために、命令に従わざるを得ない不利な立場に置かれながら、天才的な戦術によって、敗戦においても自分の麾下を奇跡的に守り切るなどの功績をあげます。

それは腐敗政治家達に「敗戦から民衆の目をそらすための英雄」として、「魔術師ヤン」「奇跡のヤン」という名で利用されます。そのこと嫌がりながらも、目の前にいる兵士たちの死人をできる限り少なくすることに力を注ぎます。

ラインハルトの才能を高く評価しながらも、ルドルフも突出した才能の持ち主であったことを指摘し、1人の英雄にたよるのではなく、ひとりひとりの小さな努力による民主主義と自由を望みます。
シビリアンコントロールにこだわるために、彼は腐敗した政治家の戦略なき命令にもひたすらに従います。

しかし、同盟はクーデターや内乱、長く続く戦争による国力低下などに見舞われます。ドンドンと社会は硬直化し自由の気風を失っていき、ヤンの身も危険になっています。

一方、ラインハルトは皇帝が息子を残さずに死んだのを契機に、国内貴族との戦闘に突入します。これは軟弱な貴族の惨敗に終わります。
専制ではありながら、民衆により良い環境を与えるラインハルトに民衆は熱狂。ラインハルトの実質的な支配が始まります。

宇宙暦798年、ラインハルトは自由惑星同盟への大規模な侵攻作戦、「神々の黄昏」を行ないます。
様々なしがらみを抱えながらも、ヤンはそれを迎え撃つことになります。戦闘はヤンの活躍で有利に進行しますが、ラインハルトの旗艦のブリュンヒルトを射程に収めたところで、同盟政府の発した戦闘停止命令並びに無条件降伏の通達をうけます。

あくまでも軍隊のシビリアンコントロールにこだわるヤンは停戦。和平締結後は退役して念願の年金生活に入ります。

しかし、ヤンは同盟政府に命を狙われて、エル・ファシル独立政府に身を寄せます。革命軍を組織してイゼルローン要塞を奪還し、帝国との一時講和を引き出します。
講話の話し合いに向かう途上で地球教徒のテロリストに襲撃され死亡してしまいます。

一方、フェザーン自治領、自由惑星同盟を制圧し銀河の統一を果たしたラインハルトは、宇宙暦799年ゴールデンバウム朝から皇帝位を受けローエングラム王朝を建て、初代皇帝ラインハルト1世として即位します。

ヤンの後を継いだのは、ヤンの養子であるユリアン・ミンツです。
1巻から最終巻まで登場し、その後の人生までも予感させるという意味では、銀河英雄伝説はユリアンの成長物語という側面を持っています。

ユリアンは、軍隊=ヤンの軍隊という意識があり、指導者になってもヤンならどうしたかという苦悩の中で、ヤンに受けた教育や掛けられた言葉などを噛み締めながら、民主主義を望む人の居場所の確保に奔走します。

次第に独自の滞在能力を発揮し、宇宙暦801年シヴァ星域の会戦で自らブリュンヒルトに突入、ラインハルトと直談判に臨みます。

その結果、惑星ハイネセンを含むバーラト星系を、民主主義による自治区とする条件を勝ち取ります。この時、ラインハルトは死病に侵されており、ラインハルトの死とともに本編が集結します。

この二国の対立の裏には、フェザーン自治領や地球教という地下組織が蠢き、裏で様々な糸をひいていて、物語は各陣営の思惑が絡み合います。全10巻、外伝5巻ですが、長く感じることはありません。

この物語には600人以上の登場人物がいて、それぞれが個性的かつ魅力的な人物として描かれています。悪役に見える人にも違う一面があったりと、奥行きもあります。

好きなキャラクターが1人は絶対に見つかると思います。しかし、戦争状態にあるため、重要人物であっても、意外なほどアッサリとした死を迎えて呆然とすることもあります。

登場人物や設定の複雑さから、数々の矛盾点がでてしまうこともありますが、それでも楽しく読める作品です。

sample

2.ゲーム

http://www.dmm.com/netgame/feature/ginei-ta.html
銀河英雄伝説タクタティス。2015年春公開予定となっているオンラインゲームです。現在は事前登録が受付中です。

詳細は不明ですが、基本的には戦闘型ゲームでどちらの軍を選ぶか、どのような布陣を組むかなどの選択が出来ます。キャラデザインはアニメと同じですので、アニメで慣れ親しんだ人にもすんなり入り込めるのはないでしょうか。

どちらの軍か選べるというのが、生まれた場所、環境に翻弄されながら、そこで自分なりの最善を尽くして生きた小説世界のキャクター達から見ると「羨ましい」と思える点でしょうね。

3,アニメ

http://www.ginei.jp/ 公式HP
劇場公開アニメ3作、OVA本編 4期110話。外伝52話が作られました。製作は1988~2000年です。

当初はVHSビデオテープだったのですが、DVDソフト化、Blue-Ray化などに対応して販売が行われています。DVDソフト化により、初期版を作り直したシーンも多く、人名や艦名のスペルも多くが修正されています。
CSやVODで放送が現在も行なわれいて、根強い人気を感じます。

膨大なキャラクター達をほぼ1人1役で行っており、当時の声優陣は総出演という感じになっていますので、声優ファンにも人気がありますね。

銀河英雄伝説は舞台にもなっており、2014年2月の舞台で、原作を踏襲した再アニメ化が発表されました。今のところ何時ごろ実現するのかは不明です。

http://ch.nicovideo.jp/gineiden こちらでアニメ化を進めている原作元のらいとすたっふ/田中芳樹事務所代表の安達氏と、キティエンターテインメントの三澤さんが色々と裏話をしてますが、実現するのでしょうか。

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4,田中芳樹

1952年生まれ。1978年に李家 豊(りのいえ ゆたか)名義の「緑の草原に…」で第三回幻影城新人賞を受賞し、作家としてデビューしました。

銀河英雄伝説から田中芳樹名義に変更します。銀河英雄伝説で人気作家となります。銀河英雄伝説は本編をちゃんと集結させていますが、その後の発表作は未完結のものが多いです。

完結させたシリーズは「マヴァール年代記」「夏の魔術シリーズ」「タイタニア」のみです。「タイタニア」も1988年から1991年に第1から3巻まで刊行されたところで中断、2013年に4巻、2015年に最終巻となる5巻が発売され、27年の時を経て完結しました。
27年もかかったにしろ、終わったことでホッとした人も多いのではないでしょうか。4巻が出た時に、次が出るのがいつか分からないので読むのは後にすることにした人も居ることでしょう。

しかし、完結してないのにアニメ化とかはやってしまうんです。アルスラーン戦記のアニメ化が現在進行してますが、これも一部までしか出来ない可能性が高いですね。アルスラーン戦記を終わらせることは出来るのでしょうか?

最近は、戦記もの以外の単発などを執筆していますが、終わらせるべき作品も、飽きずに書ききって欲しいですね。


5.ヤン・ウェンリーの名言

歴史家になりたかったというだけあって、言葉に含蓄がある。才能と希望、理想と現実の乖離に常に悩みながらも、ひょうひょうとしていたヤンの言葉を集めて見ました。

まずは私の選ぶベスト・ワン
・ユリアン、ユリアン、お前、今日は夕食抜きだよ
ユリアンが預かった小鳥に食事をやるのを忘れて出かけてしまった時の言葉。私はこの言葉が一番好きです。ユリアンと一緒に自分も夕食抜きにして、保護者としての自分を戒めるところも含めて、名シーン。

・紅茶を一杯貰おうか?
コーヒーを飲まない紅茶等のヤンに、ユリアンが完璧な紅茶をいれるシーンがたびたびある。ほっとする瞬間である

この後の言葉説明が要らないと思います
(主義について)
・政治の腐敗とは政治家が賄賂を取ることじゃない、それは政治家個人の腐敗であるに過ぎない。政治家が賄賂を取っても、それを批判できない状態を政治の腐敗というんだ。

・恒久的な平和なんて歴史にはなかった。だが何十年かの平和で豊かな時代は存在した。要するに私の希望は、たかだかこの先数十年の平和なんだ。だがそれでも、その1/10の期間の戦乱に勝ること幾万倍だと思う。

・専制とは市民から選ばれない為政者が権力と暴力によって市民の自由を奪い、支配することだ。

私は最悪の民主政治でも最良の専制政治にまさると思っている

・信念のために人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等なことである。なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないからである

・それは正論だ。だが、正しい認識から正しい行動が生み落とされるとはかぎらないからね。

・まったく逆説的だが、ルドルフを悪逆な専制政治に走らせたのは、全人類に対する彼の使命感なんだ。

人が必ずいつか死ぬように、国家だって永遠にして不滅のものじゃない。国家なんてものは単なる道具にすぎないんだ。

(軍や戦術について)
・正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に初めて成立する。

軍隊というのは道具にすぎない。それもない方がいい道具だ。そのことを覚えておいてその上でなるべく無害な道具になれるといいね。

・軍人が暇なのはいいことさ

・自由惑星同盟にいささか深く関わりすぎた。給料出してくれる相手にはそれなりの義理を果たさないとね

・私は少しだけ歴史を学んだ。それで知ったんだが人類の社会には思想の潮流が2つあるんだ。人の命以上の価値がある説と命に勝るものはないという説だ。人は戦いを始める時 前者を口実にし、止める時、後者を理由にする。それを何百年何千年と続けてきた。私は 流した血の量に値するだけの何かをやれるのだろうか?

・軍人というのは敵を殺し、味方を死なせ、他人を騙したり出し抜いたりすることに明け暮れるろくでもない商売だ。

・我々は軍人だ。そして民主共和政体とは、しばしば銃口から生まれる。軍事力は民主政治を産み落としながら、その功績を誇ることは許されない。それは不公正なことではない。なぜなら民主主義とは力を持ったものの自制にこそ神髄があるからだ。強者の自制を法律と機構によって制度化したのが民主主義なのだ。そして軍隊が自制しなければ、誰にも自制の必要などない。

・どうも勝つことばかり考えていると、人間は際限なく卑しくなるものだなぁ。

・組織の中にいる者が自分自身の都合だけで身を処することができたら、さぞいいだろうと思うよ。

・何を慌てているんだ?世の中には慌てたり叫んだりするに足りるようなことは何もないぞ。

目前に急務があるわけだから、まずそれを片付けよう。夕食の用意ができてもいないのに、明日の朝食について論じても始まらない

・予定通り事が運ぶことは、めったにありませんよ。といって予定をたてないわけにも行きませんしね


どうでしょうか。

あなたもラインハルトとヤン、そして多くの魅力的な人物に出会ってみませんか。

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