チューリングを知ってますか

 

チューリップ?いいえ、チューリングです。

1930年頃、現在コンピュータの中心となっているフォイマン式コンピュータと同じような、演算機の概念を独自に発表したのがアラン・チューリングです。

いわゆる天才という人で、16歳でアインシュタインの文章を理解しただけでなく、明記されていなかったニュートン力学についてのアインシュタインの疑問と、
ほとんど同様の疑問を付記したという逸話があります。

数学、論理学、そして暗号解読などに大きな影響を与えた人物です。

イギリスのサイトですが、http://www.turing.org.uk/index.htmlに彼の生涯が詳しく説明されています。

エニグマ アラン・チューリング伝 上

新品価格
¥2,916から
(2015/4/6 15:54時点)

チューリング

新品価格
¥3,132から
(2015/4/6 15:55時点)

チューリングを読む コンピュータサイエンスの金字塔を楽しもう

新品価格
¥3,240から
(2015/4/6 15:56時点)


1.アラン・チューリングとはどんな人?

1912年6月23日 生まれ、1954年6月7日に自殺したとされるイギリスの数学者、論理学者、暗号解読者、コンピュータ科学者です。

1931年チューリング・マシンという概念を導入することで、現在のコンピュータを先取りしたアルゴリズムの概念を定式化しました。
同時に、計算可能な問題は、すべてチューリング マシンで計算できることも証明しました。
あくまで演算処理できる問題に限っています。アルゴリズムが書ける問題なら解けるという風に解釈してよいと思います。

さらに、「与えられたアルゴリズムは有限時間で停止するか」という問題(停止性問題)を完全に解決することは不可能であるということを示し、
コンピュータが実現されないうちに、コンピュータの理論的限界を示し
ました。

わかりやすい解説があります。
バカ犬を使った停止性問題のわかりやすい例え

「チューリングマシンの実行結果は実行する前に予測することはできない=プログラムの実行結果を予測する普遍的なプログラムは存在しない」のです。
つまり、プログラムの実行結果の正否を判定できないのだから、バグを見つける普遍的なプログラムは作れないということです。
全世界のシステムエンジニアが肌で感じていることが、こんな昔に数学的に証明されてしまっているんです。

第二次大戦中は暗号解読の仕事についていました。ドイツのエニグマ暗号機の解読に成功しbombeを開発しています。
その後も暗号解読の仕事で成果を上げましたが、その機密性から1970年代まで、業績は知られることがありませんでした。
この暗号解読がなければノルマンディー作戦の成功もなかったと言われるほどです。

また、この仕事のために彼のチューリング・マシンの実現は遅れることになりました。
1946年2月の論文でプログラム内蔵式コンピュータの英国初の完全なデザインを発表していますが、縮小版のマシンですら、1950年までプログラムの実行を行うものを作れませんでした。

1949年、マンチェスター大学のコンピュータ研究室に移り、Computing Machinery and Intelligence(「計算する機械と知性」、1950年10月、「Mind」誌)という論文で、
チューリング・テストとして知られている実験を提案しています。

1952年から、亡くなる1954年までは、植物の葉のつき方に現れるフィボナッチ数の存在について主に研究を行ないました。後に、再評価されている業績です。
1952年の論文では、1960年代に初めて観察されたベロウソフ・ジャボチンスキー反応のような発振する化学反応の存在を予言しています。

性格はとにかく変わり者でした。6月の第一週は花粉症になるからとガスマスクを被ったり、長距離走が得意だからと遠方の会議に走って行ったり、
自転車のチェーンが外れるのを防ぐために漕いだ回数を数えるなど、様々な逸話が残っています。

また彼はゲイでした。普段から隠すこともなかったそうです。
1952年に自宅に泥棒に入ってゲイが発覚したため有罪判決をうけて、投獄を免れるために矯正のための女性ホルモン投与を受け入れました。
当時の英国ではゲイは犯罪であり、また無意味なホルモン療法などがされていたのです。

このころ、彼がドイツ軍を破る決定的なエニグマ暗号解読をしていたことは機密でした。

彼の死は青酸カリの摂取による自殺とされていますが、ベッドの脇には齧りかけの林檎が落ちているなど、他殺を示唆する多くの疑問が残されています。
また、暗号解読の能力の高さと変わった人であることもあって、当局に危険視されていたなどという話しもあります。
友人の一人は、白雪姫の映画を真似したのではないかと言っています。

死後、彼の業績は高い評価を受けるようになります。
1966年にAssociation for Computing Machinery (ACM)が、コンピュータ社会に技術的に貢献した人物に与えるチューリング賞を設立しました。
コンピュータ関係者のノーベル賞と言われています。


2.チューリング・マシンとは

チューリング・マシンは、データを記憶するメモリセルが連続したテープと、その上を移動するヘッドで構成されています。
音楽テープやビデオテープをイメージしてください。超シンプルな構成です。

ヘッドは2方向に1回1メモリセルのみ移動します。
ヘッドは真下のメモリセルの値を読んだり、値を上書きします。
メモリセルに許された値は「0」か「1」の1ビットで、チューリング・マシンの内部状態を保持する内部レジスタが1つあります・。
このシンプルな構成がチューリング・マシンの基本形です。

※実際にはどう動かすのでしょうか?

チューリングマシンの命令は、

命令が選択・実行される条件(入力)

1.現在の内部状態  マシンの内部状態を表す (0、1、2、3・・・)
2.現在のメモリセルの値  ヘッドの真下のメモリセルの現在の値(「1」 または 「0」)

命令の実行内容(出力)

3.新しいメモリセルの値  ヘッドの真下のメモリセルに新しく書き込む値(「1」 または 「0」)
4.新しい内部状態  新しいマシンの内部状態 (0、1、2、3・・・)
5.ヘッドの移動  ヘッドの移動する方向 (「R」:右に移動、「L」:左に移動)
の5つで構成されています。

例えば【0 1 0 1 R】という命令は、
0:現在の内部状態が「0」
1:メモリセルの値が「1」
の時に
0:メモリセルに「0」を書き込んで
1:内部状態を「1」に更新し
R:ヘッドを右に移動する
という意味になります。

処理の流れ

ヘッドの真下のメモリセルの値を読み、現在の内部状態と現在のメモリセルの値に一致する命令を捜し、なかったら実行停止します。
命令があったら、命令にしたがって、新しいメモリセルの値をヘッドの真下のメモリセルに書き込み、内部状態を更新し、ヘッドを移動します。
これを繰返します。

この構造は、現在のコンピュータの基本と似ています。

TM.bckgrnd

3.チューリング・テスト

人工知能に関する命題です。

2台のディスプレイの前にテストをする人がいます。
1台のディスプレイには隠れている別の人が、もう1台は人間をまねるように作られたコンピュータが受け答えした結果がそれぞれ出てきます。
テストをする人はどんな質問をしてもよいとします。
コンピュータも、わざと計算に時間をかけたり、間違えたりと、人間をまねる努力をします。

テストをする人が、どちらが人間でどちらがコンピュータか分からなければ、このコンピュータには知能があるとします。

「知能とは何か」という定義を脇に置いておいて、「知能があるもののように振る舞える」ならばコンピュータに知能を認めるということです。
つまり、脳内の思考ではなく、外部とのコミュニケーション能力を重視していることになります。
この時点では、これに合格するコンピュータはありませんでしたが、演算能力を上げることで可能になるという示唆をしています。

これに対して、哲学者サールが「中国語の部屋」という反論を行ないました。
「人間は考える蘆である」な哲学者としては、脳内の思考こそが知能であるということです。

英語しかわからない人が部屋にいます。しかし、部屋にある説明書によって、中国語の質問に中国語で答えることは出来ます。
つまり、中国語の受け答えができるだけでは、中国語が分かるとは限らないことになるという主張です。
これをコンピュータに当てはめると、チューリング・テストに合格して知能があるような受け答えができても、本当に知能があるかは分からないという反論です。

この問題は、たびたび引き合いに出されて論争の的になります。



4.まとめ

植物の葉のつき方に現れるフィボナッチ数の存在に関して論文を書いたり、化学分野での予言
コンピュータの限界に対する証明人工知能とは何かという思考実験の提案(チューリングテスト)など、非常に幅の広い人です。

アスペルガー症候群だったのではないかと言われていますが、なんとも言えません。パブリック・スクールをなんとか卒業して一般教養も身につけていました。
ちょっと変わった天才だったのは確かですが、暗号解読などでは協力体制で挑んでいますし、コミュニケーション能力が極端に低かったという話もありません。
現在も、アラン・チューリングという天才は科学、哲学など多くの分野に、影響を与え続けています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事へのコメントはこちら

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
また、* が付いている欄は必須項目となりますので、必ずご記入をお願いします。

内容に問題なければ、下記の「コメント送信」ボタンを押してください。