進化するミトコンドリア病の治療法

 

ミトコンドリア病ってあまり聞かない病気ですね。しかし、そういった病気にも真摯に取り組み治療法は進化しています。藁をも縋る気持ちでいる患者さんにとっては朗報ですよね。そして、研究が進むということは、未来に希望が持てるということです。

ミトコンドリア病の最前線に迫ってみました。


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ミトコンドリア病ってどんな病気?

1980年代から注目されている病気の一つで、細胞小器官のひとつであるミトコンドリアの異常によって引き起こされます。

ほとんどの場合、脳や骨格筋、心筋に異常が見られます。

ミトコンドリアの異常といっても、体内すべてのミトコンドリアが異常をきたしているわけではありません。

一部の症例では、乳酸やピルビン酸の蓄積が見られ、糖尿病のような症状が出る患者さんもいます。

日本でも糖尿病の約1%はミトコンドリア病だと考えられていて、決して少ない病気ではありません。

多くは孤発性で遺伝はしないと考えられていますが、型によって母系遺伝をする場合もあります。

これはミトコンドリアDNAは母親から受け継ぐことに由来します。

ごくまれに、核遺伝子の変異によるものは、常染色体劣性遺伝がみられます。

ミトコンドリア病の種類ってある?

ミトコンドリア病には主に3つの種類があり、それぞれ症状が異なります。
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慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)は上瞼が下がったり、外眼筋麻痺などの症状があらわれます。
発症する年齢は幅広く、10~20代で発症する場合が一番多いです。
7~8割の患者さんに、ミトコンドリアDNAの欠失が見られます。
欠失とは、DNAの一部が欠損している状態のことです。

赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群は一般的にMERRFと呼ばれることが多く、子供が多く発症する病気です。
ミオクローヌスというまぶたがピクピクする現象や、けいれん、筋症状などが主な症状です。
知的退行、歩行障害に至ることが多く、その約40%は心筋症を合併します。
この型のミトコンドリア病は、母系遺伝する型です。

ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群はMELASと呼ばれていて、MERRFと同じく小児に多い病気です。
脳卒中のような発作があらわれ、初発症状は頭痛や嘔吐で、なかなか発見しづらいようです。
筋力低下や、知的障害もあらわれることがあります。
血清・髄液中の乳酸値が高くなるのが特徴的です。

ミトコンドリア病の治療法は?

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ミトコンドリア病は、根治する治療方法がないとされる難病で、その時々の症状に合わせた対処をしていくしかありません。

ミトコンドリアが利用する反応経路のひとつを補うユビキノンやコハク酸の投与をする場合もあります。

国が定める特定疾患医療費助成制度の中にも平成21年10月30日から指定されています。

ミトコンドリア病は小児期に発病する場合が多く、症状もわかりづらいものも多いです。

発見できずに長期間過ぎてしまうことも考えられます。

いろいろな臓器の症状が組み合わさって現れることが多いので、ひとつの診療科ではなかなか診断がつかないことがあります。

治療でも、いくつもの診療科の専門医に診てもらう必要があります。できるだけ多くの科のある総合病院で診断・治療してもらうとよいでしょう。

ミトコンドリア病患者の治療薬として薬効を科学的に証明する臨床試験に至った薬剤は我が国ではアルギニンが最初の試みです。

日本ミトコンドリア学会では様々な試みを行っています。特に、http://j-mit.org/patiodoctorsoudan/read.cgi?no=365 ドクター相談室は有用ですのでチェックしましょう。

※家庭でできる事

食事と栄養が非常に重要です。
生化学的検査で酵素欠損の部位が明らかになった場合には、それに応じた栄養の摂り方を行う事が可能になる場合があります。

ピルビン酸からコエンザイムAを経て、TCA回路、電子伝達系に入る経路に障害がある場合には、高脂肪食(ケトン食)を試してみたり、カルニチンを使用してみたり、乳児の場合にはMCTミルクを使ってみることが有用な可能性があります

※家族の会

理解の得にくい難病ですから、家族の励まし合いは重要です。新たな情報も集まってきます。
「ミトコンドリア病患者・家族の会」がありますから、そちらに入ってみましょう。

※新しい治療法が発見

2015年3月に富沢一仁・熊本大教授(分子生理学)らの研究チームが特定の酵素の働きが低下し、ミトコンドリアがエネルギーを作り出すのに必要なタンパク質をうまく作れなくなっていることを突き止めました。

この酵素の代わりになる薬剤を開発、マウスの細胞を使った実験で効果を確認していて、今後動物実験をへて、臨床試験への移行を目指しています。酵素の代わりになるものがあるというのは朗報です。

良い臨床結果が出ることを祈ります。

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