あまりにも知らなすぎた 統合失調症

   2015/01/15

現代社会の心の病として比較されるのが“統合失調症”と“うつ病”です。どちらも発症例が増えているため対策が求められています。ただ両者の違いが、正しく理解されているとはいえない面もあります。

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◆統合失調症とうつ病の違い

  • ❖心のゆとり
    うつ病の典型的なケースに「ゆとりのなさ」が挙げられます。
    「あれも、これもやらなければ」と強迫観念に駆られてしまうのです
  • 統合失調症は、パニック状態に陥りやすいのが特徴なのです。
❖物事に対する姿勢の面(無気力状態に陥ってしまう点では共通)
  • うつ病の場合は頼まれたこと、自分の役目だと思ったことに対しては必死になって取り組みます。
    しかし思ったような結果が得られず、落ち込んで自己嫌悪に陥ります。
  • 統合失調症の場合は最初の段階からやる気がなく、消極的です。
    そのため「やる気がない」「だらけている」と見られてしまうことが多いようです。
※こうした違いを見極めることで、早期発見・適切な治療・対策につなげていきましょう!



★統合失調ってどんな症状?

1統合失調症は、刺激を伝えあう脳をはじめとした神経系が障害される慢性の疾患です。詳細は不明な部分もあるものの、ドーパミン系やセロトニン系といった、緊張やリラックスを司る神経系や、意欲やその持続に関連する系列、情報処理・認知に関する何らかの系列にトラブルが起きているといわれています。

 

世界各国で行われた調査により、統合失調症の出現頻度は地域や文化による差があまりなく、約100人にひとりは、かかった体験をもっていることがわかりました。これは、統合失調症が、誰しもが体験しうる病気のひとつであるということです。

■症状

●陽性症状
急性期に生じる患者の感覚
*眠れなくなり、とくに音や気配に非常に敏感になる
*まわりが不気味に変化したような気分になる
*リラックスできず、頭のなかが騒がしく、やがて大きな疲労感を残す
*自分のことが周囲の人に筒抜つつぬけになり、常に人から見張られていて、悪口を言われている

※「幻聴」や、「妄想」といった症状が代表的です。
※陽性症状は、安心感を著しく損ない、一度、症状が現れると回復には十分な時間を必要とします。

●陰性症状
*根気や集中力が続かない、意欲がわかない、喜怒哀楽がはっきりしない
*一見、元気にみえるのに、なぜか仕事や家事が続かない
*込み入った話ができない、会話を続けることが困難
*考えがまとまらなかったり、自分で色々なことを決めて生活をしていくことが困難

※陰性症状は、なかなか症状として認知されづらく、怠けや努力不足とみられてしまう場合があります。
※陰性症状を「症状」と理解して対応しなかった場合は、生活上のさまざまな失敗や挫折を招くことが多くなります。これが、リハビリテーションをしたり、社会生活を維持するうえでの要点です。

★統合失調の原因は?


2 統合失調症の原因は、今のところ明らかではありません。進学・就職・独立・結婚などの人生の進路における変化が、発症の契機となることが多いようです。 ただ、きっかけではあっても、原因ではないと考えられています。というのは、こうした人生の転機は特別な出来事ではないからです。

 

たとえば、一卵性双生児は遺伝的には同じ素因をもっているはずですが、2人とも統合失調症を発症するのは約50%とされていますので、遺伝の影響はあるものの、遺伝だけで決まるわけではないことがわかります。

統合失調症の原因には“素因”と“環境”の両方が関係しており、素因の影響が約3分の2、環境の影響が約3分の1とされています。素因の影響がずいぶん大きいと感じるかもしれませんが、この値は高血圧や糖尿病に近いものですので、頻度の多い慢性的な病気に共通する値のようです。

子どもは親から遺伝と環境の両方の影響を受けますが、それでも統合失調症の母親から生まれた子どものうち同じ病気を発症するのは約10%にすぎません。

★統合失調との付き合い方


統合失調症と私 自己紹介編 病気の私は私の全てではありません



●薬物療法の進歩は目覚ましい

統合失調症の症状が、ドーパミン系やセロトニン系といった神経系で作用している神経伝達物質のアンバランスと関連が深いことが認められて以来、多くの治療薬が開発されてきました。
とくに近年、治療薬が開発され(リスパダール、ジプレキサ、ルーラン、セロクエル、エビリファイなど)、成果をあげつつあります。

これらの薬の特徴は、陽性症状に効果があるばかりでなく陰性症状にも効果があるといわれていることと、手の震えや体のこわばりといった生活に支障を起こしやすい副作用が少ないことです。

◇使用方法

 (1)原則、1種類の薬で処方し、同じような効き目の何種類もの薬を重ねて飲むような方法はとらない

 (2)「適用量」があり、多量の処方は、副作用が増えて意味がないことが明らかにされています。

 ※日本では、かつて多種類の薬物を大量に処方する習慣がありました。第2世代の抗精神病薬は、このような処方の方法論にも影響を与えています。

●地域のなかで暮らすことがリハビリテーションの目標である

統合失調症にかかると、陽性症状や認知障害のため、本人の病気の自覚が困難といわれてきましたが、それは偏見です。適切な方法で丁寧に伝えれば、病気療養に必要な情報を患者さんに与える事はできます。

知ることや、病気への対処を学ぶことは、病気からの回復に進んで取り組む上で大切です。

病気について本人や家族が理解することの最大のメリットは、再発に対して適切に対処する、あるいは再発を予防することが可能になることです。事前に苦手なことを知っていることで、ある程度ストレスへの対処が可能になります。

したがって、延々と入院しているよりは、早期に退院して生活を始め、生まれてくる課題についていろいろと工夫を重ねていくのがよいでしょう。

近年、日本でも「地域中心の精神医療」が注目されていますが、統合失調症の場合、生活の場で本人と家族、仲間や専門家で、より良い工夫を考える機会をつくるメリットは大きいです。

また、症状は慢性的に残る事があります。これを「障害」と呼びますが、サポートが行われることによって、また、本人の能力を伸ばすことによって、社会生活を維持する力が増す可能性が増えます。

適切な薬物療法とリハビリテーションが行われた場合は、回復の度合いは良好です。30年長期予後調査によれば、適切な薬物療法とリハビリテーションの組み合わせで40%の人が過去1年間に就労経験をもち、68%の人でほとんどの症状が消失し、73%の人が充実した生活を送っていると答えました。

●家族の役割

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そして、家族のもつ大きな力を治療において発揮していただければ、回復もそれだけ促進されます。診察に同伴して家庭での様子を主治医に伝える、薬の飲み忘れがないように気を配る等です。医師から処方された薬について、「薬を続けるとクセになる」などというと、患者を迷わせてしまいます。

家族の患者への接し方を少し工夫していただきたい、とくに患者が苦手なのは、身近な人から「批判的な言い方をされる」「非難がましくいわれる」「オロオロと心配されすぎる」ことです。

患者の良い面を見つけ、認めていることを言葉で表現する、困ったことについては、具体的な解決策を一緒に考える、という接し方が理想的です。

※薬だけでなく、こうしたコミュニケーションにおいても、家族のもつ力が回復を促すことになります。




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