「ギラン・バレー症候群」という病気 

 

ようやく風邪が治った、やっと頭痛がおさまった、と思っていると突然に、手足の力が抜け、しびれが…。

10万人に1人か2人の発症率と言われるこの「ギラン・バレー症候群」という病気は、日本でも難病に指定されています。

どういった病気なのか、その症状と治療法について調べてみました。




1.ギラン・バレー症候群とは

1916年にフランス人医師ジョルジュ・ギランとジャン・アレクサンドル・バレーが症例を報告したことで「ギラン・バレー症候群 (GBS) 」という名称が定着しました。

❖発症する割合や年齢は?

人口10万人あたり年間1~2人が発症します。幼児から老人まで、あらゆる年齢層に発症し、男性にも女性にも発生しますが、男性の方がやや多くみられるようです。※遺伝性の疾患でなく、感染する恐れもありません。

ギラン・バレー症候群/ミルメディカル 家庭の医学動画版


❖どんな症状で経過は?

筋肉を動かす運動神経の障害のため、急に左右対称に手や足に力が入らなくなる病気です。手足のしびれ感を訴える患者さんも多いようです。

多くの場合が風邪をひいたり、下痢をしたりなどの感染症の後1~2週して症状が始まります。症状は2~4週以内にピークとなり、その後、進行は停止します。

進行停止後は徐々に改善していきます(10~20%の患者に後遺症がみられる)。6~12ヶ月前後で症状が落ち着いて安定した状態になります。症状の程度はさまざまですが、もっとも症状のひどい場合には起きあがることが困難になり、呼吸ができなくなることもあります。

*約50%の患者さんに顔面の筋力低下がみられます。

*舌や嚥下障害のため、「喋りにくい」「飲み込みにくい」などの症状が現れることがあります。

*外眼筋支配神経に障害がでて、複視( 物が2つに見える )が起こることもあります。

*呼吸筋の麻痺は10~20%の患者さんで起こります。

*頻脈(ひんみゃく)や不整脈、起立性低血圧、高血圧など自律神経失調症状が現れることもあります。

❖「ギラン・バレー症候群」の原因は?

「ギラン・バレー症候群」は自分の抗体が、誤って自分の末梢神経を攻撃することによって発症します。

病気の引き金は、いろいろです。約7割程度は、細菌やウイルス感染症が起こって、数日から数週間後に発症します。この感染症は、下痢を伴う胃腸の病気であったり、風邪であったり、喉の痛み等色々です。残りの約3割程度の患者は、麻痺の症状から始まります。

人体は、細菌やウイルスなど異物が侵入した場合、免疫防御システムが働き、抗体がそれらの微生物(抗原)を攻撃します。

この免疫防御システムが正常に機能し、抗体が侵入した抗原だけを攻撃すれば問題はないのですが、抗体が、自分の末梢神経を抗原と見なして誤って攻撃し、しかもその誤った抗体を作り続けることが、ごく稀に起こります。

このように、抗体が誤って自分の末梢神経を攻撃し続けることによって発症する病気が「ギラン・バレー症候群」です。

※また、IV型アレルギー反応によって発生する活性酸素が、神経組織障害におよび「ギラン・バレー症候群」を発症するということも原因のひとつと考えられています。

※インフルエンザなどのワクチン接種の副作用という説もありますが“推定”の域です。この病気にかかった事が無いのであれば、インフルエンザのワクチン摂取は受けた方が良いと知り合いの医療関係者が言ってました。

ザ!世界仰天ニュース「ギラン・バレー症候群」


❖「ギラン・バレー症候群」の診断方法は?

*神経学的診察
まず、神経内科医が神経の異常を詳しく診察します。この診察がとても重要で、どういう病気の可能性があるかを絞り込み、その後に必要な検査をします。

*筋電図検査
末梢神経が障害された結果、伝わる速度が遅くなったり、伝わらなくなってしまっている部分がないかをチェックする検査です。「ギラン・バレー症候群」の診断において重要な検査で、脱髄型なのか軸索障害型なのかの識別にも有用です。

*血液検査
発症早期に自己抗体である「抗糖脂質抗体」が検出されることがあります。他の末梢神経障害疾患を除外のためにも必要な検査です。

*髄液検査(腰椎穿刺検査)
髄液を採取し、圧・外観・細胞数・糖・蛋白などを調べる検査です。病気の初期には異常がないことが多いですが、1週間以後には細胞数の増加を伴わない、蛋白の上昇を認めるようになります。

2.「ギラン・バレー症候群」の治療のガイドライン

今まで「ギラン・バレー症候群」は、自然治癒し、予後 ( 治療後の見通し) の良い病気と考えられていました。ところが、重症になるケースもあり、また後遺症を残す方もいるため、現在は発症後なるべく早く治療を開始するようになりました。

*血液浄化療法(単純血漿交換療法、二重膜濾過法、免疫吸着療法)
「単純血漿交換療法」で、ピーク時の症状が軽くなったり、症状の回復が早まることが確認され、確固たる治療法として確立しています。「単純血漿交換療法」では、分離した血漿を全て廃棄し、代わりにアルブミン溶液を補充します。回数は重症度に合わせて行います。
・副作用:血圧低下・感染症・静脈血栓症など

*免疫グロブリン大量静注療法
ヒト免疫グロブリン0.4g/kgを5日間連続して点滴する治療で、一回の点滴には4~6時間を要します。副腎皮質ステロイドとの併用でより高い効果が得られると考えられています。

3.リハビリが肝心です!


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◆リハビリが早いと回復も早い!

麻痺の進行が止まった後リハビリを開始しないと、筋肉の「廃用性萎縮」が進み、関節が拘縮していきます。数値で見ると1日1~5%の筋力が萎縮していき、1週間で元の約70%に、2週間後約50%に、1ヵ月後約25%に萎縮すると言われています。機能が戻りにくくなるのは、関節も同様です。←大変です!

麻痺した手足の機能を回復させるのは、自然治癒(自己回復力)とリハビリテーションです。末梢神経の損傷(麻痺)の進行が止まったら、急性期の治療(血漿交換療法やガンマ・グロブリン等)に代わって、関節の拘縮や筋肉の萎縮を防ぎ、麻痺した手足の機能回復のためにリハビリが行われます。

主治医の指示の下で、理学療法士、作業療法士がメニューを組みリハビリを行います。長く入院している患者さんには、早い段階から理学療法士による手足の曲げ伸ばしやマッサージが必要です。

◆具体的な療法

・立位訓練から始める。(下肢に長い装具を付けて平行棒での立位訓練を行う)

・歩行訓練(下肢の装具を短いものし、松葉杖での歩行訓練へ)⇒長距離の歩行訓練を行う。

・応用歩行訓練⇒体力強化や、持久力強化訓練など

とにかく最初はツラくても、リハビリが病気の予後を左右します。頑張りましょう!

4.その他

◆「ギラン・バレー症候群」で障害者手帳はもらえる?

それは医師でなければわかりません。 障害者認定には医師の「診断書」が絶対に必要です。

診断書は都道府県ごとにある福祉担当部署(大概は市区町村役場に併設)に書式が用意されていて、それを医師に提出して記入してもらうことになります。

◆「ギラン・バレー症候群患者」は医療費控除の対象?

現在、厚生労働省は、「ギラン・バレー症候群」を130ある難病(難治性特定疾患)の1つに指定していますが、医療費が公的負担(医療費補助)となる「指定難病」(平成27年1月に56種類から110種類に拡大され、医療費は全額公的負担から一部公的負担まで)には指定していません。

年間の支払いが高額になった時、医療費控除を申請すれば所得税の還付があります。

誰も病気にはなりたくありません。でも、なってしまったら“病気を受け入れ”て医師と相談しながら回復のための“最善の方法”を見つけましょう!もちろん、努力は不可欠です。

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