「三猿」の意味知ってますか?

 

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「三猿」と言えば“見ざる”“聞かざる”“言わざる”の三匹の猿が、それぞれ“目”“耳”“口”に手を当てている日光東照宮の彫刻を思い浮かべます。

厄介な事には、あまり首を突っ込まずに無視しちゃえ~。それは“見ざる聞かざる言わざる”で・・・なんてどこかの悪代官みたいな感じかと、勝手に思い込んでました!

でも、そんな軽い意味の物が日光東照宮にあるはずないですよね。三猿の本当の意味するとこは何なのでしょう?調べてみました。

1.そもそも「三猿」の発祥はどこなのでしょう?

3匹の猿というモチーフ自体は古代エジプトやアンコールワットにも見られるもので、シルクロードを伝い中国を経由して日本に伝わったという説もあります 。
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『論語』に「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」(礼にあらざれば視るなかれ、礼にあらざれば聴くなかれ、礼にあらざれば言うなかれ、礼にあらざればおこなうなかれ)という一節があります。

※論語…孔子と彼の高弟の言行を孔子の死後、弟子達が記録した書物。

こうした「不見・不聞・不言」の教えが8世紀ごろ、天台宗系の留学僧を経由して日本に伝わったというのが一説となっています。

三猿のモチーフは、庚申信仰の伝播(でんぱ)とともに近世以降広く用いられるようになり、主尊の青面金剛を描く際、その足元に三猿が添えられた例が多いです。

また庚申の「申=さる」である、庚申信仰で人の悪事を監視して天帝に報告する三匹の「三尸虫」を封じるため、悪事を見聞きせず、話さない三匹の猿を出したなどの説もあるんです。

※庚申信仰…「庚申」は、干支(えと)の組み合わせの一つ。十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)と十二支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)を甲子、乙丑、丙寅と組み合わせると全部で60種類の組み合わせができる。

その一つが「庚申」で、「かのえさる」「コウシン」と読みます。これを暦に当てはめると、60日ごとに庚申日が訪れ、60年に一度庚申年が巡ってきます。

「虫の居所が悪い」「腹の虫が治まらない」など、実は人間の体内には生まれながらにして三匹の虫がいるらしいのです。「庚申日」の夜、人々が眠っている間に体を抜け出た三匹の虫が天に昇り、その人の善悪を天帝に告げると言われています。

庚申信仰の主尊“青面金剛”を描く際、その足元に三猿が!庚申塔にも、これまた三猿が!
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2.「三猿」の意味は?

◆『見ざる聞かざる言わざる』と言えば“日光東照宮”です。日光東照宮とは?
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参照元:http://www.toshogu.jp/keidai/index.html

日光東照宮は、元和3年(1617)徳川初代将軍徳川家康公を御祭神におまつりした神社です。家康公は、元和2年4月17日駿府城(静岡県静岡市)で75歳の生涯を終え、遺言により、元和3年4月15日、久能山より現在の地に移されおまつりされました。

正遷宮は、同年二代将軍秀忠公により「東照社」として鎮座しました。その後、正保2年(1645)宮号を賜り、『東照宮』と呼ばれるようになりました。

現在のおもな社殿群は、三代将軍家光公によって、寛永13年(1636)に造替されたものです。

※社殿群は平成11年12月「世界文化遺産」に登録されました。
〒321-1431 栃木県日光市山内2301(日光東照宮社務所) TEL 0288-54-0560 FAX 0288-54-0061
日光東照宮のHPはこちらです。

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参照元:http://www.toshogu.jp/shaden/index.html#5

神厩舎は、ご神馬をつなぐ厩(うまや)です。昔から猿が馬を守るとされているところから、長押上には猿の彫刻が8面あり、人間の一生が風刺されています。

中でも「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿の彫刻が有名です。何と「見ざる聞かざる言わざる」は、8面ある彫刻の内の1面なのです!

❖第1面
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親子の猿ですが、 母猿が手をかざして子猿の将来を案じて見ている様子と言われています。

❖第2面…有名な「三猿」です!
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“聞かざる、言わざる、見ざる”の順番ですが、叡智の3つの秘密を示していると言われています。この3匹の猿はまだ子ども猿で「子どものときは、世の中の悪いことを見たり、聞いたり、言ったりしないで、素直なまま育ちなさい」という教育論的なものだという説。

大人になってからの処世術で余計な事は見たり聞いたりしても、むやみに他人に言ってはいけないと言う戒めだという説。本当の意味はどっちなのでしょう?どちらもアリ!ですよね~。

❖第3面
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座っている猿の姿で“一人立ち”直前の姿を表していると言われています。

❖第4面
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若い猿が大きな志を抱いて天を仰ぐ姿だと言われています。青い雲が「青雲の志」を暗示。

❖第5面
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人生に挫折に悩んでいる姿。そんな時も側に居てくれる仲間が大切だという教えだそうです。

❖第6面
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若い猿にも恋の季節がやってきて物思いにふけっている状態?だそうです。

❖第7面
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夫婦となった2匹の猿が、人生の荒波を乗り越えていくという教えだそうです。

❖第8面
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次の世代の子供を宿し母となって、またストーリーは1面に戻るのだそうです。「三猿」が、こんなに奥深いものだったなんてビックリ!!日光東照宮には5173個もの彫刻があるのです!それもビックリ!

外国にも似たような言い伝えはあるそうで「Three wise monkeys」と言われているようですが・・・
「見ざる、聞かざる、言わざる」は「see no evil, hear no evil, speak no evil」と表現されます。

◎オーストラリアでは“三カエル”?
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出典元:http://4travel.jp/travelogue/10654358

◎アメリカはリアルで“猿の惑星”っぽい…
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出典元:https://flybyphoto.wordpress.com/2011/05/07/afternoon-walk-in-san-francisco/

三猿(さんざる)を切り折り紙で作ってみた


◆菜根譚(さいこんたん)にも三猿の教えが!
中国、明末の儒者洪応明の著で2巻。成立年未詳です。儒教思想を根本とし老荘思想,禅宗の説を交えた語録風の随筆。前集に在官中の仕官保身の道を、後集に退官後の山林閑居の楽しみを述べ、無欲と風雅を説いています。

人之短処要曲為弥縫。如暴而揚之、是以短攻短。人有頑的要善為化誨。如忿而嫉之、是以頑済頑。

人の短処(たんしょ)は曲(つぶさ)に弥縫(びほう)を為(な)すを要す。如(も)し暴(あば)きて之(これ)を揚(あ)ぐれば、是(こ)れ短(たん)を以って短(たん)を攻(せ)めるなり。人の頑(がん)あるは善(よ)く化誨(かかい)を為(な)すを要す。如(も)し忿(いか)りて之(これ)を嫉(にく)まば、是(こ)れ頑(がん)を以て頑(がん)を済(な)すなり。

《意味は?》
他人の短所は上手に取りつくろってあげるべきです。もし、短所を暴いてそれを露呈するのは、自分の短所で他人の短所を責めるようなものですよ。他人の意固地は上手に諭してあげましょう。もし、怒って相手の意固地を憎めば、自分の頑固を相手の頑固にするようなものです。

つまり、人の欠点に対処する時は、強硬策は逆効果ですよ!ということみたいです。その通りですよね。

◆三猿の教えは相場にも!
『三猿金泉秘録』は、宝歴五年(1775年)、大阪の天才米相場師「牛田権三郎慈雲斎」が書き残した相場についての書物です。世界初の先物市場である大阪米相場で大活躍した相場師、牛田権三郎慈雲斎ですが、記録はほとんど残されていません。現在、その存在を伝えてくれるのは、この一冊の書物だけのようです。

いわく、「三猿とは見猿、聞猿、言猿の三なり。眼に強変を見て、心に強変の淵に沈むことなかれ、ただ心に買い含むべし。耳に弱変を聞きて、心に弱変の淵に沈むことなかれ、ただ心に買い含むべし。強変を見聞くとも、人にか語ることなかれ、言えば人の心を迷わす。これ三猿の秘密なり、金泉録とは、この書の名なり」。

相場が強気なのを見て、まだまだ上がると思って買い進んではいけない。ひたすら売りのチャンスを狙うべきである。相場が弱気だと聞いて、下がると思って投げてはいけない。ひたすら買いのチャンスを狙うべきである。相場の上げ下げを見聞きしても、人に話してはいけない。言えば人の心を惑わすことになるということだそうです。

う~ん!三猿って本当に奥が深すぎます!!素晴らしいです♪

3.「四猿(しざる)」ってどういうこと?

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「見ざる聞かざる言わざる」という言葉は、孔子の論語が由来という説もあることは前述しました。

孔子の戒めは「礼節にそむくことに注目してはいけない。礼節にそむくことに耳を傾けてはいけない。礼節にそむくことを言ってはいけない。礼節にそむくことを行ってはいけない。」と4つです。

この戒めを人々に分かりやすく伝えるため“猿”を使って表わしたと伝えられています。

*見てはいけない…目を両手でふさぐ猿。
*聞いてはいけない…耳を両手でふさぐ猿。
*言ってはいけない…口を両手でふさぐ猿。
*してはいけない…股間を両手でふさぐ猿。

「してはいけない」は、股間を両手でふさいでいるので、性的なことに関する戒めかな?と考えられますよね。「してはいけない」は「しざる」もしくは「せざる」ということで、「見ざる・聞かざる・言わざる・しざる(せざる)」で四猿となるんです。

中国では「4匹の猿」で1つの意味合いを成すセットで、「三猿」ではなく、「四猿」と言うそうです。
※『余りある欲は、災いをもたらす』と言った意味合いもあるそうです。

「三猿」を調べてみると、三匹の猿に人生のいろいろな教えが込められている事に驚かされます。同じ「三猿」を見ても、その時の心境によっても見る人の心に響くものが違うかもしれません。素晴らしい歴史的遺産があることを日本人として誇りに思います。

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