どこにいるの、刀鍛冶

 

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日本を代表する文化、「日本刀」。世界的に有名な文化でありながら、日本刀を作っている職人がどんな人物なのかは謎に満ちています。

鍛冶の技術はもともと外国から入ってきたものですが、切るというより、叩くに近い外国の刀はとても重く、日本人には不向きでした。そこから独自の鍛冶技術が発展していったのです。

軽くて丈夫・切れ味が良い上に使いやすくてバランスもよく仕上がった日本刀は武器としてだけでなく、美術的価値も問われました。今回は高い技術を用いて日本刀を生み出す刀鍛冶についてご紹介します。

刀鍛冶って?

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刀鍛冶とは、現在では文化庁長官より刀を作ることを許された人の事を指し、具体的には修行を積んで文化庁より認定を受けることができた者のことです。

全国に300人ほどしか居ないとされ、しかも一本ずつ丁寧に作れるよう年間24本しか作ることを許されていません

そもそも刀ってどうやって作られるの?

日本刀の製作方法は、時代・流派・個人によって多少異なりますが、玉鋼による一般的な製作工程を簡単にご紹介します。一つの刀を作る間にここまでの手間がかけられているのですね。

1:水(みず)へし・小割(こわ)

玉鋼を熱して打ち延ばし、良質な部分を選び出して大基を作り出す作業です

2:積沸(つみわか)

素材を炉で熱する作業です。この過程で素材が熱せられ一つの塊になります

3:鍛錬(たんれん)・皮鉄(かわがね)造り

充分沸かされた素材を打ち延ばし、さらに折り返して重ねていく作業を繰り返し鍛えていきます。鍛錬によって柔らかい心鉄をくるむ硬い鉄(皮鉄)が作られます

4:心鉄(しんがね)造り・組み合わせ

皮鉄造りに前後して造ります。「折れず・曲がらず・よく切れる」という3つの条件を追求した日本刀は、鋼は硬く・かつ柔らかいという矛盾を解決するために炭素量が少なく柔らかい心鉄を、炭素量が高く硬い皮鉄で包む方法を編み出しました

5:素延(すの)べ・火造(ひづく)

皮鉄と心鉄の組み合わせが終わると、熱して平たい棒状に打ち延ばす素延べをします。素延べのあと、小槌で叩きながら形状を整える火造りをします

6:土置き(土取り)・焼き入れ

耐火性の粘土に木炭の細粉、砥石の細粉を混ぜて焼刃土を作り、土塗りをしていきます。これを約800度に熱し、頃合いをみて急冷します。

7:仕上げ・銘(めい)切り

焼き入れが終わると、曲がり・反りなどを直して荒砥をします。最後に刀身に疵(きず)や割れができていないか確認し、中心(なかご)の鑢仕立てを行い、目釘孔(めくぎあな)を入れ、最後に作者の銘を入れます。

【刀鍛冶】日本刀の作り方 How to make Japanese sword,katana


刀鍛冶になるには?

刀鍛冶になるためには刀匠資格を有する刀鍛冶の下で5年以上の修業をし、文化庁主催の作刀実地研修会を修了する必要があります。

この研修会へは4年の修業を終えた者から参加が認められます。刀鍛冶の試験は実技だけで、年に1度、岡山県で8日間かけて行われます。

試験内容は、脇差の造り方を試験官が評価していきます。毎年10名ほどが受験して、合格率は5割程度といわれています。

刀鍛冶を目指す場合、最も重要かつ難しいことは入門先を探すことです。刀鍛冶の多くは経済的に恵まれておらず、また責任の重さから弟子を採ることに消極的な人がほとんどです。

とてもつらい修行から途中で辞める者も多く、辞められた場合今までの材料や時間は無駄になりますし、無事に弟子が一人前になったとしても独立してしまいます。

親方にとって弟子をとるということは、刀鍛冶の文化を次世代に残すための思い以外全くメリットがないのです。

弟子になる条件

刀鍛冶の弟子になる条件としては、若く独身で、健康に自信があるだけなく、刀を作りたいと云う情熱と、金銭面でサポートしてくれる状況です。

入門できても作刀許可を貰うまでの5~6年間は、出費はあっても収入を期待することが出来ません。さらに独立する際には、仕事場としての相応の土地や機具も必要となりますので、経済援助は必要となるでしょう。

一人前に刀を作ることが出来るようになるには早くて10年程度かかるので、出来ることなら20歳前後の年齢で弟子入りが望ましいかといわれています

刀鍛冶のいる場所は?

名簿人数(全刀工匠会名簿より) 地域
17名 岡山県
13名 岐阜県、福岡県
11名 埼玉県、東京都
8名 新潟県・島根県
7名 熊本県、奈良県、広島県・
6名 長野県、兵庫県、和歌山県
5名 大阪府、群馬県、栃木県、山梨県
4名 高知県、静岡県
3名 岩手県、愛媛県、香川県、神奈川県・京都府、宮城県
2名 秋田県、青森県、鹿児島県、佐賀県、滋賀県、鳥取県、北海道、福井県、福島県、宮崎県
1名 愛知県、石川県、茨城県、徳島県、富山県、山口県
あくまで今回は一つの名簿を参考にさせていただきましたので、この人数が全てではありません。岡山では現在でも刀工技術を守ることに努力されているためか特に人数が抜きん出ていますね。

刀工の見学が出来る!!

刀鍛冶に会ってみたいという方に朗報です。備前長船日本刀傳習所では毎週土・日・祝日、9~16時まで仕事場を無料で公開しています。

「百聞は一見にしかず」とも言いますし、是非ともホームページを確認して見学をしに行って見てください。

女性の刀鍛冶もいた!!

岡山県井原市には、江戸時代日本唯一の女性刀工、大月源がいました。

源は国重派(水田国重)の刀工・伝十郎の娘として生まれましたが、16歳の時に父が亡くなり、刀工の伯父も、22歳の時に病に倒れてしまいました。

伯父の遺言で「そもそも我が国重の家は、昔この里、高越の城主・北条家に仕えしより今に十五代、相伝えて絶えず。我が身に及んで家伝絶えなば、先祖にこれを何とか言わん。いかばかり口惜しからざらんや。汝、女たりといえども精神を尽くしなば、成らざることのあるまじ。」
この言葉を胸に努力を重ねた源はやがて「女国重」として短刀の造り手として有名になりました。

日本刀という大事な文化を守るために、人生をかけて奮闘されている方々の情熱には頭がさがる思いですね。

引用・参考文献
全日本刀匠会
真鍋純平鍛刀場
日本美術刀剣保存協会
尾道古武術道保存会
人生の中の日本刀
備前長船日本刀傳習所

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