恐ろしい病気 腸チフス

 

私たち日本人が海外へ仕事や旅行に行くことは、最早当たり前となった感があります。必ずしも衛生状態が日本と同じ、あるいは良い国はそうそうあるものではありません。

5歳未満の子どもの死亡数は1990年には年間1260万人でしたが、2007年には900万人にまで減少しました。

しかし、残念なことに、サハラ砂漠以南のアフリカ地域では必ずしも改善しているとは言い難い状況であり,2007年の死亡数は460万人、何と全体の半分以上を占めています。貧困や衛生環境などが原因となっています。

テレビなどで、食べ物や人間にハエがたかっている光景を見たことがあると思います。腸チフスという病気も日本ではほとんど見られなくなりましたが、国によってはまだまだ当たり前の病気と言ってもいい状況なのです。

<原因>

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腸チフスとは、サルモネラ菌の一種であるチフス菌(Salmonella enterica var enterica serovar Typhi) によって引き起こされる感染症です。

そして、治療が終わっているのに保菌状態が一年程続くことがあり、菌を拡散する恐れを残しているのです。

腸チフスについては悲しいエピソードが残されています。

<チフスのメアリー>

昔、メアリー・マロンという女性がいました。彼女は一生を賄い婦として過ごし、後年は離れ小島の隔離病棟から出ることはありませんでした。彼女はいったいなにをしたのでしょうか。

何もしていないのです。ただ、彼女の体の胆嚢の中に腸チフスがいた、それだけなのです。

彼女が賄い婦として働いた一家が次々と腸チフスで死亡していきました。警察や保健所は「彼女は腸チフスに感染しているが、発病しないという奇跡的な体質の持ち主」という事を突き止めました。彼女はついに1907年に政府に拘束されました。

「体を切って調べる」という政府に対し、彼女はこれを拒否しました。結果「以降賄い婦をしてはならない。」と言われました。5年後に捕えられた彼女は、離れ小島の病院に隔離され、23年間そこから出ることはありませんでした。

<感染する原因>

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腸チフスの感染源は、汚染された食べ物や飲み水です。潜伏期間は7~14日ほどです。発展途上国が中心とはなっていますが、世界各地で発生しています。

16世紀のイタリアの数学者でもあり医者でもあったジェロラモ・カルダーノが発見者といわれています。

症状のよく似た発疹チフスと区別がついていたわけではなく、それが解明されたのは1836年になってからでした。

<症状>

口から入った菌が腸のリンパ節のなかで増殖して潰瘍をつくり、また、血流に乗って菌が全身に広がり症状が出ます。最初は38度程度の発熱があります。

頭痛、関節痛、全身のだるさ、食欲不振、徐脈などの症状を伴います。激しい下痢を伴うこともあります。

症状が進むと、腸のリンパ節に潰瘍ができるため、出血や穿孔(せんこう 穴が開くこと)が見られます。また、主に胸や腹にバラ疹と呼ばれる、ピンク色の発疹が起こります。

<検査>

血液中の好酸球と呼ばれる白血球の量を調べることで判明します。腸チフスに罹った場合には、好酸球の著しい減少が見られます。

<罹らないために>

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日本では、感染症法という法律があり、監視が必要な3類感染症に指定されています。

手洗いの励行、食べ物にハエがたからないように常に注意を払い、加熱が不十分な食品は、感染しやすい状況にあるため、それを避けるためにも調理法に気を使わなければなりません。生水や野菜、果物などの熱を加えていないものには注意が必要です。

さらに渡航する前にワクチンを接種することを検討してみてください。副作用の懸念、接種部位の疼痛や頭痛などの症状が出る場合もありますが、重大な副作用はまれだとされています。

日本では、1970年代前半までは接種されていましたが、患者の大幅な減少や副作用に伴い、現在は未承認となっていますが、輸入ワクチンによる接種を受けることが出来ます。ただし、未承認薬ですから、よくお医者さんなどと相談してください。

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