水仙月の四日 宮沢賢治の冬の童話 ネタバレも含めた感想

 

水仙月の四日は宮沢賢治によって書かれた短編小説で、生前唯一出版された作品集である「注文の多い料理店」に収録されていました。今は、絵本でも出版されています。

どのような主要登場人物がいるのでしょうか?


雪婆んご-ゆきばんご
猫のような耳、灰色の髪、金色の目を持ち、雪童子(ゆきわらす)達を従えて、吹雪を起こす、人の命を奪っていくこともいとわない冬の魔物。”婆”との表記から女性であることがうかがえます。

雪童子-ゆきわらす
物語の中心人物です。雪婆んごに従って、鞭を使い吹雪を起こす魔物。2匹の雪狼(ゆきおいの)という魔物を従えています。

雪狼-ゆきおいの
雪童子のしもべ。吹雪を起すことが出来る。その姿はおおかみに似ていると推測できます。

赤い毛布をかぶった子供
雪童子がからかって投げた、ヤドリギを大切に持っていた赤い毛布をかぶった人間の子供。

・物語のあらすじは、どのようなものなのでしょうか?

【文学アート】 宮沢賢治 語りと音楽と風墨画Vol.1 「水仙月の四日」


雪深い山中で起こる、雪童子という魔物の子供と赤い毛布をかぶった人間の子供のお話です。家路を急ぐ子供に雪童子はふざけてヤドリギの枝をなげます。雪婆んごは吹雪で人の命をさらっていく魔物で、雪童子に子供の命を持って行ってしまえとの言います。

しかし、ヤドリギを子供が大切に握りしめていたことを知り、嬉しくなった雪童子は、雪婆んごの目を盗んで、子供に雪を掛けてやり、吹雪から一晩守り助けますが、彼が助けたということは雪童子は人間の目には見ることができないため誰も知りえることはできません。


冬の厳しさと美しさを歌った作品

題名にある水仙月とは宮沢賢治の造語だそうです。1月から4月まで、日本で水仙の咲く冬の季節であるという説もあるそうですが推測の域をでていないようです。

登場人物は、赤い毛布をかぶった子供とその父親以外は賢治の創作上の魔物達です。この物語は雪に包まれ、死と隣り合わせの岩手の厳しい冬の一コマを想像させられます。

白銀の世界、けぶる様な吹雪の中、赤い毛布をかぶり、道なき道を進む子供の姿が脳裏によぎります。物語全般において、赤と白の色、生と死のコントラストが象徴的な作品です。

雪婆んごに使役されているはずの雪童子が、自分が悪戯でほおったヤドリギを大切に持っていた子供に対して、心が通じ合ったのではないかと涙ぐみ、感銘を受けるその姿は、自然が厳しくも時に人間に対してみせてくれる生命への優しさを感じることができる、一度読んだら忘れられない童話の一つとの感想をいだくのではないでしょうか。

冬の美しさと残酷さを鮮烈に描いた作品だと思います。

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