色盲(色覚異常)の世界

 

世界は様々な色に溢れています。特に日本では四季を楽しむためには欠かせない存在といえるのではないでしょうか?

しかし、貴方の目にみえる色合いは他の方と同じように映っているでしょうか?今回は色合いが少し他の人とは違って見える【色覚異常】についてご紹介します。

健康ぷらざ:先天性色覚異常(2015.1.4)


色覚異常って?

人間の目の網膜は二種類の感覚を受け取ります。一つは明暗に反応する『杆体(かんたい)』、もう一つが細かいものを見ることや、色を見分ける『錐体(すいたい)』

色覚異常は網膜にある錐体の異常が原因とされており、異常のある錐体の種類によって見え方が変わります。どのタイプなのかは眼科専門医の診断を受ける必要があります。

(2型色覚:M-錐体(緑錐体)の機能不全、あるいは欠損・1型色覚:L-錐体(赤錐体)の機能不全、あるいは欠損)

日常生活における2 型色覚と1 型色覚の違いとして、2 型色覚の人は自分が色覚異常であることを知ってさえいれば、日常生活は自然に対応できるようになっていきます。

一方、1 型色覚の人は、危険を知らせる色として多用される赤色が見にくいためより注意をはらっていただくことが大切です。

これまで色覚異常は【色盲】【色弱】【色神異常】【色覚異常】など様々な言葉で呼ばれてきていました。日本眼科学会は2005年度、眼科用語集の改訂を行うなかで『色盲』『色弱』などの言葉は使われなくなり、『色覚異常』としました。

人によって呼び方は様々ですが一部のカラーユニバーサルデザイン機構では【一般的に最もわかりやすく、少しでも差別感が少ない表現として「色弱」という言葉を使用している】ところもあります。わかりやすくかつ悪い印象を抱かせない名前は模索段階のようですね。

どうして色覚異常になるの?


遺伝による影響が考えられています(伴性(ばんせい)劣性(れっせい)遺伝(いでん))。

人間は両親から常染色体と性染色体を受け継ぎます。その中で性染色体には『X 染色体』と『Y 染色体』が存在します。ここで男性であればX染色体・Y染色体をそれぞれ一本ずつ、女性であればX染色体を二本持つことで性別が決まっていくのです。

色覚異常の遺伝子はX 染色体に存在し、この遺伝子が受け継がれていくことで色覚異常となるのです。
男性(XY)

(X染色体は一本だけ)
色覚異常でないX染色体のみ 色覚異常ではない
色覚異常のX染色体が一本 色覚異常
女性(XX)

(X染色体は二本ある)
色覚異常でないX染色体のみ 色覚異常ではない
色覚異常のX染色体が一本 色覚異常ではない

(色覚異常の遺伝的保因者)
色覚異常のX染色体が二本 色覚異常
(※例外的に色覚正常な男性から色覚異常が子孫に伝わっていくことも、ごくまれにはあるともいわれております)

色覚異常はそれほど稀なわけではありません。日本人では20 人に1人の男性、500 人に1 人の女性の割合で、色覚異常の人が存在します。また、色覚異常の保因者は女性の10 人に1 人の割合といわれています。

★お母様方へ知っておいてほしいこと★


上記で記したように、色覚異常は母親を中継して表にでてきますが、重要なのはお母様が負い目や責任を感じすぎないことです。

お子さんはお母さんが色覚異常についてマイナスイメージのまま考えているとお子さんも欠点として受け入れてしまうのではないでしょうか?

子供も人間です。運動の苦手な子・勉強の苦手な子それぞれの個性があるように、色覚異常もその子の個性と割り切って尊重して接してあげて下さい。

ちなみに有名画家であるゴッホも一部では色覚異常であったといわれています。色覚異常の人の中では我々一般の色覚者よりも、彼の絵の素晴らしさを感じることが出来るのですよ。

また、他者と自分が見えている色合いが違うことで何かしらの代償で上手く付き合っている人も多く存在しております。お子さんの色の見え方を無理に直そうとせず、普通の会話の中で色覚が正常である人の見え方を教えてあげることのほうが重要なのではないでしょうか?

どんなふうに見えるの?


色覚異常の人がどのように見えるのかは、実のところ分かりません。
しかし、最近では画像の色合いを変換し色覚異常の人の見え方を模擬体験出来るスマフォアプリなども存在します。

これらは強度の色覚異常の見え方であり、過半数の人の見え方はもっと多彩な世界にいるのではないでしょうか。

色覚異常の人は青緑色辺りの色に対しては違いがわかりやすいといわれていますが、その他の色では多少の違いや全く違う色合いを混合してしまうこともあります。しかし、青系と黄色系の色が混合することはないといわれています。

どうしたら色の違いをわかりやすく出来るの?


色覚異常の子も、色を間違えた経験を積むことで良い条件がそろっている場合では間違いが少なくなってきます。


ただし、雨や夕暮れ時など見えにくい条件が重なると、赤信号と黄信号を間違えたり、街灯と信号と見分けがつかなくなったりすることもあります。これらは命に関わることなので、しっかりと把握しておくことが大切ですね。

また、他にも色を判断する手がかりとして形、質感や光沢、明るさや鮮やかさの違い、色の対比。記憶や経験、あるいは状況の正確な把握が重要といわれています。

出来るだけ身の回りのものは色合いだけでなく、形なども利用して工夫することで見分けやすくするように工夫をすることが重要ですね。

進学や就職・免許習得ではどう影響する?


色覚異常でも車の運転免許が取れる可能性はあります。
また近年では、特殊な大学や専門学校を除き制限がなくなっています。

健康診断で色覚検査をしなくてもよくなるなど人権を尊重し、均等に機会を与えていこうという本来の姿になりつつある一方で、就職先は具体的に仕事内容を調べておくなど、自己責任で進むべき分野を選んでいかなければならない状況になってきたともいえます。

カラーユニバーサルデザインって?


パソコンの普及や印刷技術などの発達でさまざまなものが色彩豊かになりました。公共施設や展示施設などにおいてもテーマごとに色分けされたり、路線図・時刻表でも細かく色分けされていたりします。

しかし、これらは一般の色覚の人に向けて作られていることが多く、色覚異常の人は情報を読み取ることが難しかったり、不快に感じたりする人もいるのです。

実は、色覚異常の人に対してのバリアフリーも存在します。色覚異常に対するバリアフリーとして提唱されているのが、【カラーユニバーサルデザイン】なのです。

これは多様な色覚を持つ人々に配慮した配色を基本にしたもので、例えば、青と黄色の組み合わせや明るさや鮮やかさに差をつけたものなど色覚正常者にも自然に感じられ、高齢者にも優しく見やすいデザインです。

いかがでしたか?一般的に色覚異常の名を知っていてもどういうものかを知る人はまだまだ少ない現状です。ひとりひとりの認識が強まることで、今後視覚的にもバリアフリー化が進みより安全に・過ごしやすい環境が整って欲しいところですね。

【引用・参考文献】
公益社団法人 日本眼科医会
特定非営利活動法人(NPO法人)北海道カラーユニバーサルデザイン機構

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