トマス・モアのユートピアはほんとうにユートピア?

 

私達がぱっと思い浮かべるユートピアといえは、エデンの園やシャングリラなのではないでしょうか?

トマス・モアが1516年にラテン語で書いた書物に出てきているユートピアとはどのような所だったのでしょう?

【「羊が人間を喰い殺している」とはどういう意味?】

動画:トマス・モア の名言集を学ぶ


まずは、トマス・モアとうい人がどういう人物だったのかということが、彼が言ったこの有名なこの言葉にあらわれているのではないでしょうか?

これは、囲い込み産業への皮肉として使われています。囲い込み産業とは、16世紀から18世紀にかけておこなわれた政策です。

トマス・モアは第一次囲い込みがあったイギリスにおいて、領主や地主が、農地で農民が農作して得る収入よりも、羊を放牧して毛織物の原料として売る方が高く売れ効率が良かったため、農地を牧草地に代えていきました。

その結果、農民の仕事を羊が奪ってしまったという形になりました。そうなると、農民は収入がなくなり食べていけなくなってしまいますよね? その状況を「羊が人を食う」というように揶揄したそうです。

【トマス・モアの『ユートピア』】

『ユートピア』の原文のタイトル「 Libellus vere aureus, nec minus salutaris quam festivus, de optimo rei publicae statu deque nova insula Utopia 」は「社会の最善政体とユートピア新島についての楽しく有益な小著」と訳されています。

そのタイトルのとおり、ユートピアと名付けられた島についての内容で、架空の理想郷のお話です。

神話に描かれているような牧歌的な理想郷という意味合いではなく、人為的に作り上げた徹底的な管理社会へ対する疑問を提示し、現実社会と照らし合わせ批判する意図として書かれました。

ユートピアに住んでいる人々は以下のような暮らしをしていたと書かれています。

・個人の財産所有は認められていない。必要な品物は倉庫に保管されている。
・住む家は10年ごとに順番に変えられる。家には鍵がついていない。
・健康な市民には労働の義務があり、失業者はいない。労働は6時間。
・農業が重要視されていて、男性も女性も2年間田園地帯で農業に従事する義務がある。
・農業の他に、多くの人が就労しやすいように意識的に簡素化された商業(木工、鍛冶、石工、織物業など)を一つ以上学ぶ義務がある。
・聖職者行政者は学者が雇用され、住んでいる人々に初期教育を施す。
・住民は余暇の時間には勉学が推奨されている。
・医療費の無料化、国が安楽死を容認。
・離婚、聖職者の婚姻を許可
・婚前性交渉したものは生涯独身。姦通を犯したものは身分を奴隷に落とされる。
・奴隷は一家に2人。他の地域から連れてこられた人や犯罪者が奴隷とされる。おこないが良いと奴隷から身分が解消される。
・宗教は多種多様あるが、それぞれの宗教は他の宗教に寛容である。

【ユートピア以外の理想郷】


トマス・モアの著書にあるユートピアではなく、一般的に考えられている理想郷といえば、「エデンの園」や「シャングリラ」なのではないでしょうか?

エデンの園はチグリス川とユーフラテス川上流にあるメソポタミア平原の北の方の山岳地帯の何処かに存在していたと考えている人達もいます。

そこは、裸で生活しても問題の無い温暖で、肥沃な大地であったという話しです。その土地を耕し守らせる為に、アダムとエバを住まわせ、食用の果実の木が植えられました。

さらに、エデンの園の中心には生命の樹と知恵の樹が植えられ、この2つの樹の実を決して食べてはいけないと神から言われたにも関わらず、蛇に唆され、知恵の樹の実を口にしてしまい、アダムとイブは楽園を追われたという聖書の話はあまりにも有名です。

「シャングリラ」は、ジェームズ・ヒルトンによって1933年に発表された小説「失われた地平線」の舞台が「シャングリラ」です。

この小説の出版以降、「シャングリラ」というこの言葉はヒマラヤの奥地の外界から隔離された、地上の楽園という風に使われるようになりました。

シャングリラは、実はラマ僧が住む僧院の名前で、住んでいる人達は普通の人間よりも長生きかつ、老化も遅いとされています。

僧院は空調管理もなされている近代的な建築物で、図書館や、ピアノなどの楽器があり非常に高度に文化的な場所であり、近くの谷では潤沢に食物が生産され、金鉱もあるため、外部から必用な物を入手するには困らない生活が保障されているとその小説では記されています。

他にも、東洋には「桃源郷」や、私たちが住んでいる日本も黄金の国「ジパング」と言われていたこともあり、世界中には沢山の理想郷の伝説がありますが、結局のところ、何処が理想郷であるかということは個人の心の中にあるのかもしれませんね。

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