五重塔はなんのため?

 

【五重塔って一体なんなんだろう?】


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五重塔とは仏塔の形式の1つです。仏塔とは、仏舎利、お釈迦様の遺体や骨、またはその代替物を安置してある仏教建築のことです

五重塔は層塔と呼ばれている楼閣形式の仏塔で、五重の屋根を持つものをそう呼びます。下から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)から出来ていて、それらが5つの世界、五大思想をかたどっており、仏教的な宇宙観を表現しています。

仏舎利は釈迦の遺骨・遺灰・毛髪等を「真舎利」「真身舎利」といいます。しかし、なかなか簡単には入手する事が出来ない上に、数に限りがあるため、その代替品として、遺骨に似ているとされる宝石や貴石などを用いる場合があります。

日本では津軽地方の母衣月(ほろづき)の舎利浜(青森県今別町袰月)や近辺の海岸で採取される翡翠や石英を仏舎利として古くから珍重していました。

また、浄書した経典を仏舎利と見立てて塔に納めることもあり、そちらは「法舎利」「法身舎利」と呼んでいます。法隆寺にある百万塔陀羅尼も法舎利信仰の1つです。このことから、法隆寺に祭られているのは浄書した経典ということになりますね。

日本以外の五重塔では、以下が有名です。


韓国
「法往寺捌相殿」1626年に再建。高さ22メートル
韓国俗離山の木造五重塔(韓国では現存する最古で唯一の木造であり、国宝に指定されています)



中国
「仏宮寺釈迦塔」1056年に建築。高さ67m
こちらは5層にみえる塔ですが、内部が9層になっています。中国最大最古の八角木塔です。

【キリスト教カトリックでは「聖遺物」】


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キリスト教の教派、カトリックでは、仏教の仏舎利のようにイエス・キリストや聖母マリアの遺品やその他成人の遺体を「聖遺物」と称し崇敬の対象となっています。

イエス・キリストは十字架上で死に、葬られますが復活し、40日後に天に昇ったとされるため、お墓はありますが、遺骸は存在しないとされています。また聖母マリアも死後天に召されたため同様に遺骸はないと伝えらえています。

そのため、キリスト本人の遺骸ではなく、「聖遺物」はキリストの受難にかかわるもの、例えば、磔にされた十字架やその時に用いられた釘などです。また、そのほかの聖人の遺骸や遺品も信仰の対象となっています。

【五重塔に釘が使われていない?】

五重塔には釘が使われていないという話がありますが、本当は釘が使われています。しかし、今よく目にする洋釘ではなく、和釘とよばれるものです。

和釘は奈良時代から日本の建築に使われてきました。作られた年代によって頭の形に違いがありますが、太く角ばった軸をしています。

【五重塔は地震に強い作りになっているって本当?】

動画:五重塔の地震対策


五重塔の耐震構造とされている「柔軟造」は日本だけに留まらず、世界の超高層建築に用いられています。

「柔軟造」とは地震時に振動を吸収し、柳のようにゆるやかにゆれる構造をもつ建築方法のことを称します。

しかし、構造は宗教的な意味合いが強く、柔構造は副産物であったという可能性が高いのではないかと考えられています。

東照宮五重塔の「心柱」を例にとってみましょう。こちらの心柱は4層目から鎖でつりさげられ、地面まで達していません。また、各層とも繋がってもいません。

こうすることによって、地震の際に内部で振り子状に動くことにより、振動を和らげる効果があるとされています。

「心柱制振」と呼ばれている地震緩和システムで3・11の東日本大震災時も損傷を受けることがありませんでした。

仏教の信仰の対象となるだけではなく、その建築方法まで興味深い五重塔。訪れる際には外観の美しさだけではなくどのような作りになっているのかにも注意して観察してみるのもいいかもしれませんね。

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