ロボトミー手術と映画「カッコウの巣の上で」

 



今回の話題は医療系のもの(手術の方法)を含み、読む方によっては多少気分が悪くなる・不快な印象を抱く可能性がみられます。以降の記事に関しては各個人の自己責任で閲覧お願い致します。

あなたは、ロボトミー手術をご存知でしょうか?

脳には各場所により役割が違います。なかでも前頭葉と呼ばれる脳の前側の部分を切り取ることでチンパンジーの行動が穏やかになったという実験結果から、人間に対しても脳を切除するという治療法がとられていた時代がありました。

「カッコウの巣の上で」という映画はそんなロボトミー手術を世間に知らしめた作品です。今回はそんなロボトミー手術についてご紹介します。

【衝撃】戦慄の医学!ロボトミー手術の恐ろしい歴史・・・【恐怖の事件簿】

ロボトミー手術の前に精神外科ってなに?


脳の手術というと脳腫瘍などのイメージを抱く方が多いかもしれませんが、それは【脳神経外科】と呼ばれるもので【精神外科】とは全く異なるものです。

精神外科での病気は【精神疾患】であり、統合失調症や双極性障害などの治療が中心です。現在精神疾患に対しては【心療内科】もしくは【精神科】で行われており、【精神外科】というものは存在しておりません。

ロボトミー手術ってなに?


【精神外科】の分野で行われていた手術方法のひとつで、二十世紀前半では日本を含めた多くの国で、精神疾患のある患者に対して実際に行われていた治療法です。

精神疾患の患者に対してロボトミー手術を行うと、それまで治療法がなかった鬱病などの精神疾患で改善例が挙がり、画期的な治療法として世界各地で盛んに行われることとなりました

手術内容としては、【前頭葉と呼ばれる脳の部分を切り取る】方法です。

例えば、頭蓋骨に穴をあけ、長いメスで前頭葉を切る。

手術をもっと簡単にするために目玉の穴からアイスピックを打ち込み、アイスピックをで脳をかき回すなどの方法まで発明者は考え、実行されました。

当時には脳画像を撮ることもできなかったため、その殆どが”カン”で行われていたといわれています。

それらの結果、手術を受けた患者に以下のような出来事が起こりました。

・自分や周りの事に対し無関心、無頓着になる

・注意力の低下

・状況を把握が困難になる

・感情の制御が困難になる

・反社会的行動がみられるようになる

前頭葉の役割って?


脳の一部に大脳と呼ばれる場所が存在します。その中には前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉で構成されており、大まかな役割としては以下のようになります。

■前頭葉:頭の前部分。運動の遂行や準備などとの関係が深いといわれています。ほかにも思考や創造性を担う【脳の最高中枢】と考えられ、脳全体の司令塔のような働きをしていると考えられています。

★後頭葉:頭の後ろ部分。視覚との関係が深いといわれています。

★頭頂葉:頭の頂き部分。痛みや温度・圧力などの感覚と関係が深いといわれています。

★側頭葉:頭の側面部分。聴覚や嗅覚・感情や言語・記憶などとの関係が深いといわれています。

ロボトミー手術の危険性


上記でお伝えしたように、前頭葉にはとても重要な役割があります。ロボトミー手術はそのような大事な部分を傷つける・切り取る手術です。

つまり前頭葉が上手く機能できなくなり、「病気が回復した」と喜べる結果になるどころか、性格の変化・殆どベッドから動かなくなったなどの悲しい結果になる事例も多数存在する結果に繋がりました。

また、手術を受けた患者が執刀医の家族を殺害する事件も日本で起こったこともあるのです。(通称:ロボトミー殺人事件)

他にも、ケネディ大統領の妹であるローズマリー・ケネディもロボトミー手術の被害者といえるでしょう。医師の勧めにより、父親は彼女の暴力性が落ち着くと考えて23歳のローズマリーにロボトミー手術を受けさせました。

結果彼女は、期待された結果の代わりに尿失禁の後遺症と幼児的な性格に戻ってしまいましたまた会話も困難さがみられるようになり、何時間もぼんやりとしてしまうなどの人格にも影響が及んでしまいました。

ロボトミー手術自体の危険性なども大きく問題になり、また精神疾患に対しての薬物療法が発展したこともあり、ロボトミー手術は行われなくなりました

現在ロボトミー手術は、世界中を見渡してもほぼ行われていません。日本においても日本精神神経学会が1975年にロボトミーの否定を公表しています。

ロボトミーを扱った作品


ロボトミー手術は多くの文化的作品の題材にもされており、代表作として『カッコーの巣の上で』が挙げられます。

刑務所に入りたくないので、精神病のふりをして見事病院に入った主人公が、まわりの患者を明るくしていく作品です。
その事により彼は看護婦長に目をつけられ、ロボトミー手術を施されてしまいます。

この映画のおかげでその頃にもロボトミー手術をしていた病院は手術を止めました。

大事なこと


現在の精神医学は発達し、精神疾患に対しても薬物療法によって多くの救われた患者が存在します。しかし、たった50年ほど前にはこのようなこともあったのだということを、我々は忘れてはならないということが言えるのではないでしょうか。

医療にしろ、政治や法律など別の出来事にしろ、変えられない過去の暗い出来事に対し、その事実から目を背けるだけではなりません。今現在当たり前として行われていることが数年後・数十年後には目を覆いたくなる出来事が多くあることでしょう。

ロボトミー手術は今では精神科の世界では禁句のような扱いになっているそうで、外科的手法で精神病を治すという事もやりにくくなっているそうです。

一つのショッキングな治療のせいで他の可能性までつぶされてしまいました。

そのような歴史を各個人がしっかりと学び・より良い形に変えていく事を意識することが歴史を残すことの重要性だと思います。

いかがでしたか?

なかなかにショッキングな話題であったかもしれませんが、今ある常識が未来の常識とは限りません。『今やっているから普通でしょ?』『昔のことは知らないよ』と思わず、貴方自身の視点から物事をみて、考えてみてください。

貴方のその気付きが、未来を変えるかもしれませんね。

【引用・参考文献】
せせらぎメンタルクリニック
Timesteps
アンカーテキスト
脳を鍛える脳力トレーニング
院長の独り言

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