読んでおきたい『星の王子さま』

 

星の王子さま(Le Petit Prince)、直訳して「ちいさな王子さま」とも呼ばれる本は大人も読める児童書として有名です。作者のサン・テグジュペリの書いた絵がなかなか可愛いのです。ハードカバーならそのまま飾っておける本なので、別に読 まなくてもよいから物としてプレゼントしても喜ばれると思います。

大人のための本といわれるのは、冒頭の献辞が大人の友人になされ、最後の献辞は子供の頃のその友人に捧げていることからもうかがわれます。

深読みすればどこまでも深読みできる作品です。言葉の一つ一つに隠喩があり、それを細 かく読んでいくと、理論主義や実益優先社会に対する詩や絵画などといった芸術への回帰 の主張だとも言われます。また、フランス政府への批判だとか、三本の悪い木は世界第二 次大戦での、ドイツ・イタリア・日本連合を指しているとかの指摘もあります。

この記事を書く際に読みなおして見ると、そういった解釈が邪魔をして、いちいち言葉に 引っ掛かり、物語として楽しめませんでした。

そこで、はっとしたのです。ここで解釈を加えようとしてる私は、子供の心で作品に触れ てないなということでした。 そこで、有名な明言をとって、あらすじとともに紹介したいと思います。

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星の王子さまの明言は Twitter の bot などが複数あって、あげだすときりがないほどです。

ぜひ、見てください。

星の王子さまbot @ PetitPrince_bot
星の王子さまbot @ hoshi_ouji
星の王子さまbot. @ bot_Lepetit
星の王子さまbot @ StarPrince_bot
星の王子さま @ lepetitprince_b

1.「星の王子さま」ストーリー紹介

訳は、内藤濯氏のものからです。太字が引用部分です。

この作品も 3 部構成です。

あらすじと同時に物語に出てくる言葉や感想をのべていきます。

1.パイロットと王子さまの出合い


冒頭の「みんな帽子という」象を飲み込んだウワバミの絵を見て、今の私は「起きなきゃ いけないけどと起きたくなくて布団で固まってる姿」だと思いました。あなたはどうですか?

象を飲み込んだウワバミの絵だと説明してもわかってくれない大人に「おとなの人たちときたら、じぶんたちだけでは、なに一つわからないのです。しじゅう、これはこうだと説明しなければならないようだと、子どもは、くたびれてしまうんですね。」という言葉が出てきます。

子供の頃に読んだときは先に絵が目に飛び込んでくるので、とにかく「何々?」と早く先 が知りたくて、飛ぶように読んだ記憶があります。そして、象が消化されてないことを不 思議だと思ったものでした。何年も、その絵を描くなら、ちょっとは消化させれば良いのになんて思ってました。 既に詩心のない現実主義者だったのでしょうか。

それでも楽しく最後まで読んで、王子さ まってちょっと好きと思った記憶があります。パイロットの方は、ちょっと理屈っぽくて イライラしてて、王子さまには優しいけど、あんまり好きじゃないなと思いました。

学者が研究している通りなら、子供の本で奥歯にものが詰まったような話を展開している訳ですから、そこに引っかかったのかもしれません。子供のころの私は、かなり素直な読み手だったようです。

パイロットは理解されない孤独な人ですが、さらに砂漠に墜落して孤独になってしまいます。やばい死ぬかもなと思ってるパイロットのもとに、どこからともなく王子さまが現れます。いきなり羊を描いて!って挨拶もなしかよって感じですが、悪い子ではないようです。

いつもの絵を描いたら「それ、ウワバミでしょう」といい、パイロットと心が通じる相手だとわかります。空から落ちたというパイロットに「それじゃあ、きみも空からやってきたん だ!どの星から来たの?」と無邪気に聞いてきます。ここで、この子供がどこかの星から やってきたことがわかります。

このパートでポツポツと語られる会話はあまり脈絡がなく、あちこちに飛ぶので読者にとっては最初の難関です。児童書と思わずミステリーだと思えば、割りとすんなり読んでい けます。

パイロットは「いま、ここにこうして書くのは、あの友だちを忘れないためです。友だちを忘れるというのは、哀しい事です。だれもが、友だちらしい友だちをもっているわけではありません」と語り、「王子さまはほんとにすてきな人だった。にこにこ していた。ヒツジをほしがっていた。それが王子さまがこの世にいた証拠だ」と回想して います。

話が進むと、この子はとても小さな家ほどの星の王子で、その星には3つの火山と、根を張 って星を割いてしまう程巨大になるバオバブの芽と、よその星からやってきた種から咲い た1輪のバラの花があることがわかります。王子はバラの花に一目ぼれして大切にするのですが、薔薇は気位の高く、王子の気持ちに報いてはくれませんでした。

王子は尽くしても尽くしても報 われないことに疲れて旅に出ることにします。さよならをいう場面が美しいです。薔薇は素直に謝って、わがままは愛情表現だというのです。でも王子様は愛することに自信を失 っているので、そのまま旅立ちます。王子さまはまだまだ子供なんですね。

とても星が小さいことを「前のほうにまっすぐ行ったって、誰しもそう遠 くにはいけないんだ」と表現します。また、「ぼく、いつか、日の入りを43度も見 たっけ。だって…悲しいときって、入り日がすきになるものだろ」と哀しいことがあったことを示します。

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2.王子さまの6つの惑星めぐりによる現代の大人の風刺

6つの惑星をめぐってきた王子さまの経験談が語られます。このパートはあまりにわかりやすい寓話が集まっていて、大人には退屈な説教に聞こえる部分もあります。

最初に出会うのは自分の体面を保つことに汲々とする王です。臣下のいない王さまは、ある意味星にバラとパオバブしかない王子さまと似ています。ちょっと滑稽でやさしいとこ ろのある人です。

ただ、王子さまは「何も持ってない」とは思ってなくて、小さいからいつでも大好きな夕日を見に行ける自分の星が大好きです。最後に「おとなって、ほんとに へんなものだなあ」と疑問をぶつけます。同様の言葉は何度も繰り返されます。

次は賞賛の言葉しか耳に入らないうぬぼれ屋や、酒を飲む事を恥じそれを忘れるために酒を 飲む呑み助という人々が続きます。うぬぼれ屋は薔薇を、のん兵衛は自信を失った王子さまを思い起こさせます。

そして、根拠なく夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やす実業家は、か なり痛烈に描かれています。

1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行なっている点燈夫は忙しないながらも、自分の責務を全うしようとする部分に王子さまは共感を覚えています。自分が薔薇を放り出してしまったことが、どこか気にかかっているようです。

6番目の星に出会ったのは、自分の机を離れたこともないという変人の地理学者です。薔薇になんか興味ないといい、薔薇は死んでしまうということを告げて、地球に行くように といいます。

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3.地球にやってきた王子さま

最後に地球の砂漠に降り立った王子は、ヘビに出会います。蛇は「どこにでも連れて行ってやる」ということを言い、ラストが暗示されています。

王子さまは出会いを求めて歩き回り、数千本のバラの群生に出会ってショックを受けます。 自分の愛した薔薇がありふれたもののように思えたからです。

そこにキツネが現れて、「オレを飼いならせ」といいます、それは「仲良くなること、人と関係を結ぶこと」というのは、あるものを特別なものだと考えること、時間をかけて関係を構築し、いつも思い出すことだと教えます。「もし、あんたが、おれと仲よくしてくれ たら、おれは、お日さまにあたったような気もちになって、暮らしてゆけるんだ。」というキツネの名文句がでます。

それで、やっぱり自分の薔薇は毎日世話をして会話をした特別な薔薇だと王子さまは気がつきます。薔薇に会いたくなった王子さまですが、キツネとも別れがたい気持ちになります。が、キツネは「麦畑を見るたびに君の金髪の髪を思い出すよ」と素敵な言葉を言います。そして、薔薇について「めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなきゃいけないんだよ」と教えます。

そして「大切なものは、目に見えない」という、この小説最大の名言をキツネは王子さまに教えます。

パイロットのほうは、話を聞きながらも飛行機の修理にあくせくしています。しかし、王子さまの話でだんだんと心が変化していきます。水がなくなり「井戸を探そう」という王子さまにも、疑問ながらもついていきます。

砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくし ているからだよ…

そして、あっさりと井戸をみつけます。そのとき、本当は喉が渇いてない王子さまに「ぼく、その水がほしいな。飲ましてくれない?」とたずねます。ほしい のは水ではなくて、パイロットとの関係です。薔薇に水をやったように、パイロットから水をもらいたかったのです。

王子さは、明日で地球に来て1年になるとはなします。それは星の配置が同じになり、 ヘビに噛まれることで、身体を置いて自分の小惑星に帰ることができるということです。 王子さまは薔薇に会いに帰ることにしたのです。「薔薇には4つの棘しかないんだよ」といって。

悲しむパイロットに、「ぼくは、あの星のなかの一つに住むんだ。その一つの星のなかで笑うんだ。だから、きみが夜、空をながめたら、星がみんな笑っているように見 えるだろう。すると、きみだけが、笑い上戸の星を見るわけさ。」「きみは、どんなと きにも、ぼくの友だちなんだから、ぼくといっしょになって笑いたくなるよ。」といいます。

王子はヘビに噛まれて砂漠に倒れました。

パイロットは6年たった今も夜空を眺めて、小さすぎてどれかわからないので「すべての 星」を王子さまの星だと思い、そこにいる王子さまを懐かしんでいます。小さな星の王子さ まが一本の薔薇を思うという個人と個人の気持ちが、宇宙規模の暖かな気持ちとなって広 がっていくという構成になっています。

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2.作者について

本名はアントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ (Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry、1900年6月29日 – 1944年7月31日)、リヨンの没落貴族の子として生まれます。カトッリクであり、作品には その影響が強く出ています。たとえば、星の王子さまがめぐる星の数や、体が残って魂が生 きるというような考えかたです。

4歳で父が死去、6歳で詩を始めて読み、12歳で飛行機に出会い夢中になったといいます。 郵便を配達する飛行機の操縦士として活躍、ほかに「夜間飛行」、「人間の土地」などの作品があります。

かなりの夢想家で冒険家であり、操縦ではかなりの無茶をよくしたといいます。1933年遭難して餓死寸前で助けられています。1935年にはカイロの砂漠で不時着し、五日歩いて現地 人に助けられています。星の王子さまのパイロットと変わらない経験をしていることになります。

パイロットに志願して第二次世界大戦に従軍、星の王子さまを書いたころはパリがドイツに占領されたためにアメリカに一時亡命していました。ラジオなどを通じて政府や人々にナチスへの抵抗を呼びかけ続けました。本作を書き上げた後に前線に復帰し、そのまま帰らぬ 人となりました。彼が乗っていた飛行機を打ち落とした兵士は、彼の著作の愛読者でもあり、「彼でないようにと願っていた」と語っています。

星の王子さまで献辞をささげられているレオン・ヴェルトはサン=テグジュベリよりも22 歳年上でしたが、無二の親友でした。ジャーナリスト、作家、批評家で、ナチスによる弾圧を避け、フランス東部のジュラ県サンタムールにあった別荘に隠れ住んでいたといいます。

サン=テグジュベリは親友の無事を祈りながら、心を込めて、「星の王子さま」を書いたのでしょうね。

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