境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)ってどんな病気?

 

人間生きていれば、『なんとなく憂鬱な日』『Aさんに嫌われてしまったかもしれない』など、気の滅入る日や人間関係のトラブルを起こす日もあります。

しかし、そんな日が身近になり過ぎてしまうとしたら貴方はどうですか?自身だけでなく、周囲の人も疲れてしまったり、困ってしまったりすることもあるかもしれません。

気分の波が大きく、感情が不安定で、良い(好き)・悪い(嫌い)のどちらかしかない判断をしてしまいやすいなどの症状を持つ人は『境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)』かもしれません。

ならば、治療を続けることで落ち着いた日々を取り戻せるかもしれません。

今回はその境界性人格障害をご紹介します。

5分で分かる「境界性人格障害」について。


境界性人格障害って?



当時アメリカの精神分析家が、神経症と統合失調症のどちらともつかない症状(例えば、「強い苛立ち」には神経症的な症状、「現実を認識し辛い」ところは統合失調症的な症状と考えられます)を境界性(ボーダーライン)と呼んだことが境界性人格障害という名前の発端とされています。

感情のコントロールが苦手で、人間関係でトラブルを起こしやすく、ときには自傷行為につながってしまうこともある精神疾患です。

境界性人格障害の人は増加傾向といわれており、また、男女比は1:4の割合で若い女性に多いとされています。

特徴として誤解しないで頂きたいのが、パーソナリティ(人格)の障害ではありません。

名前からのイメージで『性格が悪い病気』『人格の障害だから治らない』というものは誤解です。地道な努力や治療によって回復し、自立した生活を送ることが出来ている人も存在しているのです。

境界性人格障害の特徴って?

症状は人によって様々ですが、以下のような症状がみられます。

【感情と行動が不安定】
感情の起伏が激しく、急に怒ることや、落ち込むなどが目立ちます。ときには自傷行為に繋がることもあります。

【対人関係が不安定。相手が悪いと思い込む】
感情と行動が不安定なことにより、対人関係も悪影響がみられます。あれほど絶賛していた人を急にこき下ろしたり、反応が両極端になるのも特徴です。

患者本人には病気の自覚が乏しく、相手や周囲が悪いと思い込む傾向にあります。


【見捨てられ不安】
対人関係が不安定なため、他人を心から信じることができません。それと同時に、相手に見捨てられることへの不安が強くなることも特徴の1つです。

【対人操作】
自分を有利にするために、嘘をついたり、悪口を言ったりする行いです。(逆にかまってほしいため、その人だけに悩みを打ち明けたりする場合も含まれます)

こちらも特徴的な行動の一つです。

これには医療スタッフが対象になることもあるので、スタッフ間で混乱することも少なくありません。

【自信と自己否定感が同居】
自己否定感を隠すために、自信を装い強気に振舞ったりしてしまいます。自分の弱さを悟られないように必死になるのです。一方、優位な体勢が崩れると、急に自分を責めてしまうこともあります。

【自傷行為】
精神的な苦痛から逃れるために自身の身体を傷つける人がいます。

境界性人格障害の原因って?



発症原因について、現段階でははっきりとは解明されていません。しかし、主に「遺伝的要因」「環境的要因」「社会的要因」が関わっていると考えられています。

境界性人格障害は様々な要素が絡み合って発症するものですので、診断には専門医での受診が必要です。

【遺伝的要因】
同じ出来事を体験しても、人によって心が深く傷つく人もいれば、あまり気にしない人もいます。そういう物事の受け止め方は親子で似ており、そういった性質は遺伝するといわれています。

「気分の変動しやすさ」「過剰な反応のしやすさ」といった性質が、子供にも遺伝し、症状を引き起こす要因になるという仮説が立てられていますが、現在では一般的に遺伝的要因は少ないのではと考えられています。

【脳の機能的要因】
境界性人格障害の方は、脳の前頭前野の(不安や感情をコントロールする)機能が低いといわれており、それゆえにものごとを柔軟に見る能力や相手の気持ちを理解する能力が低くなり、各症状につながるという見解もあります。

逆に扁桃体の(不安や恐怖を生み出す) 機能が過敏であるという報告もあり、これが対人関係の不安を生み出しているという見方もあります。

【生理的要因】
女性ホルモン(正式にはエストロゲン)には、心の安定をはかるセロトニンとの関係が見られています。女性ホルモンが欠乏すると、セロトニンも減り、苛立ちなどの精神症状を引き起こします。

境界性人格障害が若い女性に多いのは、女性ホルモンの分泌が変動しやすい時期だからともいわれています。

30代半ばを過ぎると女性ホルモンの分泌が減ってくるので、境界性人格障害の症状も落ち着いてくるという見解もあるのです。

これとは別に、オキシトシンというホルモンの分泌が少ないと、対人の不安を感じやすいことが言われています。

これは、幼いころに愛情が注がれていることで、大人になってからの分泌にいい影響が見られ、逆に愛情が少ないと分泌に悪い影響が出るといわれています。

【環境的要因】
保護者との愛情関係を築くのに重要な時期である幼い時期に、安定的な関係が築けない場合、その後の自己の確立や感情コントロールに大きく影響し、人格形成に関わると解明されてきています。

境界性人格障害の治療法って?



主な治療法は『服薬治療』『カウンセリングや行動療法』の二種類です。

どちらにしても一番大事なことは、本人の「治したい・治りたい」という意志です。治療では、過去の辛い出来事や目を逸したい事からも向き合わなければなりません。

人によっては治療期間に長い時間が掛かることもありえます。それでも「治したい」という気持ちを持ち続けて治療を続けることが重要なのです。

境界性人格障害をもつ人へどう関わればいいの?



上記で説明したように、境界性人格障害をもつ人は常に不安や恐怖を感じています。周囲の人々を振り回し、疲弊させてしまうようなことを繰り返すのも、自己表現のひとつであり周囲の人を「試して」いることがほとんどです。

周囲の人は彼らを変えようとするのではなく、感情的にならずに冷静さを保ち続けて行動していくことで解決に繋げる可能性があります。

だからといって周囲の人がみんな聖人君子ではありません。振り回され続けることや試され続けて苦しくない人なんて居るのでしょうか?それだけ境界性人格障害の相手との接し方は、大変難しいものなのです。

そんな人のためにも専門家・専門医は存在するのです。受け入れようとするあまりに自分が倒れてしまうという事にならないためにも、必要以上に彼らの訴えを受け止め過ぎたり、無理をしたりする必要はありません。

接し方のポイント

・できることとできないことをはっきりさせる(ルールを決めておく)
・患者の気持ちを理解しようとする(否定するのはよくありません)
・周囲の人同士での情報共有を行う(嘘を鵜呑みにしないため)



如何でしたか?とても難しいことのように思いますが、大事なことは【専門家を頼ることも重要】ということを覚えておいてください。

医療も日進月歩です。今回記載した内容とまた新しい情報を専門家は知っているかもしれません。なにより周囲の人だけでは上記のように混乱してしまうことも多くあり、第三者的な視点が重要視されます。

諦めず、悩みを抱えてしまった場合は専門的な知恵や経験を頼るのも一つの手だということを忘れないであげて下さい。

【引用・参考文献】
いちメンタルクリニック
境界性パーソナリティ障害(境界性人格障害)の診断、症状、治療

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